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AIで人事労務の仕事が“楽にならない”理由|HR固有の事情から生まれる導入の壁

AIで人事労務の仕事が“楽にならない”理由|HR固有の事情から生まれる導入の壁
この記事を読んでわかること
  • HRでAI導入が進んでも、業務が楽にならない理由
  • AI活用を妨げるHR特有の3つの構造的要因
  • AI導入の効果を左右する「深さ」という視点
  • AIに割り当てるべき4つの役割とその考え方
  • HR領域で"正しいAI活用"を実現するために必要な、ツール選定の視点

「AIを導入しているのに業務が楽にならない」「複数ツールを使っているせいで、AIを使っても結局手間がかかる」──こうした課題は、少なからずの人事労務(HR)担当者の方が感じているのではないでしょうか。

労務管理、勤怠管理、給与計算、採用管理、経費精算など、HRの業務は数多くの専門ツールに支えられており、それぞれのツールにおいてAIを搭載した機能の追加が盛んです。しかしそれが、必ずしも業務全体の負担軽減につながっていないのが現状です。

なぜこうした状況が生まれるのか、そしてHR領域でAIを本質的に活用するにはどのような視点が必要なのかを解説します。

複数のHRツールを導入している場合、どうしてもツール間のデータの受け渡し作業が発生してしまいます。統合型HRプラットフォームである「WorkOn」なら、そうした煩雑な作業を解消し、効率的な業務体制を構築可能です。興味のある方は、ぜひ以下より詳細をご確認ください。

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AIを導入しているのに、なぜHRは楽にならないのか

HRにおいて、AIの導入が必ずしも業務改善につながっていないのはなぜなのか? まずはAI活用の実態を部門ごとに比較しながら見ていきます。

AIで「変わった業務」と「変わらなかった業務」──部門ごとの明暗

生成AIやAIエージェントの導入は、営業、マーケティング、開発、法務といった部門で一定の成果を上げています。たとえば営業・マーケティング領域では商談記録の作成やCRMへの入力、提案書作成などが効率化され、法務領域でも契約書の一次レビューや条項比較にAIが活用されるようになりました。

一方、HR領域では、社内FAQのチャットボット化など一部の業務にAIが取り入れられているものの、勤怠管理、入社・退社手続き、就業規則や社内規程に関わる例外対応といった負荷の大きい業務は依然として人の手に依存したままです。これには、HRの業務固有の理由があると考えられます。

HRの業務がAIで変わりにくい3つの理由

HRにおいて、AIの導入が必ずしも業務改善につながらない背景には、大きく3つの理由があります。

法令や規程が絡み合う業務は、画一的な自動化が困難

労働基準法をはじめとする各種法令に加え、企業ごとの就業規則や雇用区分ごとの適用ルールが絡み合うため、同じ業務でもケースによって対応が変わります。想定されるすべての条件分岐をあらかじめ組み込まない限り自動化は成立せず、対応を誤れば法令違反につながりかねないため、AIで自動化することは非常に困難です。

機微な情報を扱うため、AIに任せられる範囲が限られる

人事労務が扱う情報には、給与や評価、健康状態、ハラスメント相談の内容など、社内的に特に機微な情報が多く含まれます。そのため、AIに何をどこまで扱わせるかを慎重に線引きする必要があり、業務にAIを気軽に組み込むことができません。

各業務に特化したツールとして発展してきた結果、システムが分断されてしまった

HRテックは、業務の特殊性などから各業務に特化したツールを個別にベンダーが提供するかたちで発展してきました。結果として、多種多様なツールを併用するのが実務上の標準になっています。これは、データが業務ごとに分断されたり、どのデータが正なのか判断できないことにつながり、結果として、業務をまたいで状況を把握し、横断的に動くAIを実現することが構造的に難しくなっています。

以上のように、法令対応、機微情報の扱い、そしてツールの分断という3つの要因が重なり合うことで、HR領域はAI活用の効果を実感しにくい状況が続いてきました。このような制約があるなかで、HRにおいて"正しいAI活用"を実現するには何が必要なのでしょうか。

HRにおける“正しいAI活用”とは何か

そもそも「AIを正しく活用する」とはどういうことなのでしょうか。詳しく解説します。

AIの活用度合いは導入の“深さ”によって決まる

同じAIサービスでも、どのように活用するかによって組織にもたらす効果は大きく異なります。この違いを表すのが、AI導入の「深さ」という視点です。深さは大きく以下の3段階に分けられます。

段階1.    チャットとして使う:質問し、回答を得る使い方です。個人の作業は効率化されますが、組織の仕組みが変わるわけではありません。

段階2.    自動化ツールとして使う:入力や申請といった一部の作業を自動化する段階です。局所的な効率化は進みますが、業務や制度をまたぐ業務全体は変わりません。

段階3.    役職として配属する:AIを組織における一つの役職として位置づける段階です。ここで初めて、AIはHRの現場で本格的に機能し始めます。

多くのHR部門が、導入の深さは第2段階以前

多くの企業のHR部門におけるAI導入は、第1段階または第2段階にとどまっているのが実情です。これは、導入する側の問題ではなく、組織に配属するレベルの深さで業務を遂行するAIサービスが存在しなかったという、提供者側の問題によるものです。しかし、この問題を乗り越える新たなHRツールが登場し始めています。その1つが、AI×HR統合プラットフォームである「WorkOn」です。

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新たなツールの登場により、第3段階、つまりAIを役職として組織に配属し、真の意味でのAIによる生産性を向上させることが現実味を帯びてきました。しかし、こうした成果を得るためには、ツールの導入だけでは不十分です。導入する側も、AIに与えるべき役職を理解し、適切にAIに業務と必要情報を割り当てる必要があります。

HRの現場でAIに与えるべき4つの役職

AIを配属するための役職は、代行者・参謀・通訳者・監督者の4つに分類できます。

  • 代行者──入力、転記、起案、通知といった定型処理を代わりに行い、作業の手間を減らす役割です。これまでのAI活用のイメージに近い、いわゆる「デジタル労働力」としての役職です(参考:Salesforce,「The New Collaborative Workforce: Humans and Digital Agents」,参照日:2026年7月3日)。

  • 参謀──複数の選択肢の提示や論点整理、優先順位づけを行い、判断の迷いを減らす役割です。AIエージェントが提案や下書きを生成し、最終的な判断と実行を人が担います(参考:Gartner,「Gartner Says Applying Uniform Governance Across AI Agents Will Lead to Enterprise AI Agent Failure」,参照日:2026年7月3日)。

  • 通訳者──就業規則や社内規程、法令といった専門的な情報を、相手の立場に応じて分かりやすく言い換え、誤解を減らす役割です。従業員の属性に応じて社内規程への回答内容を変える機能は、すでに一部のサービスで実装され始めています。

  • 監督者──締切管理や抜け漏れの検知、ルール逸脱の検知を行い、事故を減らす役割です。HRにおいては、人事マスタなど、重要情報にアクセスする権限を有する役職です(参考:Deloitte,「AI agents for business: Agentic AI insights and trends」,参照日:2026年7月3日)。

業務によっては、AIはこれらの役職の複数を兼ねながら実行する場合もあります。特にHRの業務ではそれが多く存在しており(下記表参照)、これがAIの深い導入を妨げてきました。単一の役割しか果たせないAIでは、こうした業務に十分に対応できないためです。

業務

必要な役割

どこで複数の役割が求められるか

勤怠管理(打刻・申請)

代行者+監督者

打刻・申請の処理(代行者)と、打刻漏れ・不整合の検知(監督者)

労務管理(各種手続き)

代行者+監督者

手続きの進行(代行者)と、法令要件の確認(監督者)

データ分析

代行者+参謀

勤怠・評価・組織データなどの集計(代行者)と、集計結果の解釈の提示(参謀)

では、なぜ1つのAIが複数の役割を兼ねることが、これまでは困難だったのでしょうか? その解決策とは? 次から解説していきます。

AIネイティブという解決策|業務ではなく"人"を軸に設計するという発想

なぜ、複数の役割を1つのAIが兼ねられなかったのか

これまでのAIサービスの多くは、勤怠管理ツールにおける代行者的な機能、労務コンプライアンスツールにおける監督者的な機能というように、単一の役割を果たすことに特化して作られてきました。1つのツールが複数の役割を同時にこなす設計にはなっていなかったため、勤怠管理や労務管理のように複数の役割を必要とする業務では、結局いくつかのツールを組み合わせて対応せざるを得ず、結局人の手が煩わされる状況でした。

複数の役割を切り替えるには、1つの情報基盤が要る──AIネイティブという設計思想

AIが業務に応じて必要な複数の役割を柔軟に切り替えるには、必要かつ正確な情報に自由にアクセスできる基盤が欠かせません。これを実現するのが、あらかじめAIが利用することを前提に設計された「AIネイティブ」なツールです。従業員一人ひとりの情報を集約した一つの基盤(人事マスタ)を起点に、AIエージェントが人事イベントの発生を捉えて動き、代行者・参謀・通訳者・監督者という役割を場面に応じて自ら切り替えながら対応します。

従来のツールの多くは、人が操作して初めて動く「人起点」の設計思想であり、それがために人の介在をなくすことが根本的にできません。AIネイティブなツールは、そうした人の介在余地を極限まで少なくすることも可能です。

AIネイティブは設計思想であり、既存のHRツールに後付けでAI機能を搭載することでは実現が非常に困難です。これからのHRのAXにおいては、「そのツールがAIネイティブのものかどうか」が非常に重要な判断材料となると考えられます。

「WorkOn」が実現する、4つの役割を横断するAI活用

「WorkOn」は、人事マスタを基盤に設計された、はたらく環境を支える「Work Intelligence」です。AIアシスタントがすべてのスキルに横断して搭載され、問い合わせ対応や申請書作成といった代行者的な業務から、勤怠の締めから給与計算への自動連携、異常検知による監督機能までを一つの基盤上で担います。ツールを横断して人事データを扱う設計のため、代行者・参謀・通訳者・監督者の役割を業務に応じて柔軟に切り替えることが可能です。

まとめ

HR領域でAI活用の実感が乏しいと感じる背景には、法令対応や機微情報の扱いの難しさに加え、代行者・参謀・通訳者・監督者という4つの役割が、これまで業務ごとに別々のツールに分散してきたという事情があります。自社で利用しているツールを「機能」の多さで評価するのではなく、これら4つの役割をどれだけ横断的に担えるかという視点で見直してみることが、次の一歩になるのではないでしょうか。

人事労務向けAIエージェント「WorkOn」の製品資料
谷口 昌仁
監修

谷口 昌仁

執行役員・CEO of WorkOn / CPO(Chief Product Officer)of On Technologies

京都大学工学修士課程、ハーバード大学行政経営学修士課程、南カリフォルニア大学経営学修士課程(MBA)修了後、経済産業省、楽天などIT企業での役員を経て、2022年10月入社。2024年4月に執行役員就任、2025年11月より現職。
Professional AI Media編集部
執筆

Professional AI Media編集部

株式会社On Technologiesが運営する「AIによる業務変革と成長を支援する Professional AI Media」を編集しています。