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出生時育児休業(産後パパ育休)とは?育児休業との違いや休業取得を促すための注意点を解説

出生時育児休業(産後パパ育休)とは?育児休業との違いや休業取得を促すための注意点を解説
この記事を読んでわかること
  • 出生時育児休業(産後パパ育休)の概要と、育児休業との主な違い
  • 対象者・申出期限・分割取得・休業中の就労ルール
  • 育児休業給付金・出生時育児休業給付金など給付金制度の概要
  • 企業が育休取得を促進するための運用上の注意点

【勤怠管理の基本】休憩・休日・有給休暇のルール総まとめ

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出生時育児休業(産後パパ育休)は、令和4年10月1日の育児・介護休業法改正で創設された制度です。企業が男性従業員の育児休業を促進させるうえで、大切な役割を担う制度になります。

出生時育児休業は、従来の「育児休業」と混同されやすいものです。従業員が育児のための休業を取得しやすい環境をつくるうえでは、そのサポートを行う人事・労務担当者自身がこの制度や、育児休業制度との違いを理解することが大切になります。

そこで本記事では、出生時育児休業と育児休業という2つの制度の概要を確認したうえで、具体的な違いをわかりやすく説明します。記事の後半では、出生時育児休業と育児休業の併用や、これらの休業を取得したときに対象となる給付金、企業がこれらの制度を運用する際の注意点を紹介します。

出生時育児休業の基礎知識を理解し、自社において育児のための休業の取得促進につなげたい方はぜひこの記事を参考にしてください。

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目次

出生時育児休業(産後パパ育休)とは? 

出生時育児休業とは、いわゆる「産後パパ育休」のことです。出生時育児休業は、出産をしない男性(パパ)も子が生まれた直後の時期に育児のための休業を取得できるようにするために創設された制度です。 

自社においてこの制度を正しく運用し、従業員が休業を取得しやすい環境整備をするためには、出生時育児休業という制度の概要や仕組みを理解しておく必要があるでしょう。 

ここでは、以下の流れで出生時育児休業制度の概要を確認します。 

  • 対象期間・休業期間と回数 
  • 対象従業員 
  • 対象となる子と休業回数 
  • 申出制限 
  • 休業期間の終了・申出の撤回 
  • 開始日・終了日の変更 
  • 休業の撤回 
  • 休業期間中の就労 

【出生時育児休業】対象期間・休業期間と回数 

出生時育児休業は、「産後8週間以内に4週間(28日間)を限度」として、「2回」に分けて取得できる休業です。後ほど紹介する「1歳までの育児休業」とは別に取得できます。 

28日間には、土日も含まれます。なお、出産予定日後に子が出生した場合には、子が出生していなくても、出産予定日からの取得が可能です。 

参考:育児休業制度|産後パパ育休(厚生労働省) 

参考:男性の育児休業ここがポイント(厚生労働省) 

【出生時育児休業】対象従業員 

出生時育児休業の対象は、産後休業を取得していない従業員(男女を問いません)です。ただし、いわゆる日雇いの従業員は対象外です。また、パートタイマーやアルバイトなど労働契約の期間を定めて雇用されている場合は、休業取得の申出時点で以下の要件を満たす必要があります。 

​​子の出生日または出産予定日のいずれか遅い方から8週間を経過する日の翌日から6ヵ月を経過する日までに、労働契約(更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと。​ 

​​引用:​育児休業制度|産後パパ育休(厚生労働省) 

 

ただし、労使協定を締結している場合、以下の従業員は対象外になります。 

  • ​​継続雇用1年未満である​ 
  • ​​​​出生時育児休業​​の申出日から8週間以内に雇用関係が終了することが明らかである​ 
  • ​​1週間の所定労働日数が2日以下である​ 

​​参考:​ 育児休業制度|産後パパ育休(厚生労働省) 

【出生時育児休業】対象となる子と休業回数 

出生時育児休業は、「出生後8週間以内の子」について「1人につき2回まで(分割して)」利用できる制度です。なお、2回に分割して取得する場合は、最初にまとめて申し出る必要があります。 

ここでいう「子」とは、従業員と法律上の親子関係がある子どもになります。実子・養子は問いません。たとえば、男性が事実婚状態の妻の子に対して出生時育児休業を取得する場合は、申出時点において、その子の認知をしている必要があります。 

【出生時育児休業】申出制限 

原則は、休業開始予定日の2週間前までに書面等で申出を行います。 

ただし、出産予定日よりも前に産まれた場合など特別な事情がある場合は、1週間前までの申出で問題ありません。 

なお、労使協定により産後パパ育休申出円滑化のための雇用環境の整備、及び申出期限(2週間超~1か月)を規定している場合には、申出期限が労使協定の規定通り(最長で1か月前)までとされます(早くなります)。 

出産予定日が前後した場合における「産後8週間の期間」の考え方は、以下のとおりになります。 

​​【出産予定日前に子が産まれた場合】​ 

  • ​​出産日から出産予定日の8週間後までの期間に4週間以内​ 
  • ​​例:​​​5​月1日が出産予定日で実際の出生は4月25日の場合⇒4月25日~6月26日​ 

​​【出産予定日のあとに子が産まれた場合】​ 

  • ​​出産予定日から出産日の8週間後までの期間に4週間以内​ 
  • ​​例:5月1日が出産予定日で実際の出産は5月8日だった場合⇒5月1日~7月3日​ 

​​参考:​男性の育児休業ここがポイント(厚生労働省) 

 【出生時育児休業】休業期間の終了・申出の撤回 

以下に挙げるいずれかの事由が生じた場合、出生時育児休業は従業員の意思にかかわらず終了します。 

  1. ​​子を養育しないこととなった場​​​​合​ 
  1. ​​子の出生日の翌日又は出産予定日の翌日のいずれか遅い方から8週間を経過した場合​ 
  1. ​​子の出生日(出産予定日後に出生した場合は、出産予定日)以後に産後パパ育休の日数が28日に達した場合​ 
  1. ​​産後パパ育休をしている労働者について産前・産後休業、育児休業、介護休業又は新たな産後パパ育休が始まった場合​ 

​​引用:​Ⅱ-2 産後パパ育休制度(出生時育児休業制度)(厚生労働省) 

 出生時育児休業の前に子を養育しないことになった場合、従業員はその旨を事業主に通知しなければなりません。また、子を養育しないことになれば、申出自体が行われなかったことになります。 

なお、従業員は、出生時育児休業の開始前日までであれば、申出を撤回できます。ただし、撤回した申出の休業は取得したものとみなされます。 

たとえば、ある従業員が出生時育児休業の開始前日までに申出を撤回した場合、本来であれば1人の子につき2回に分けて取得できるところ、「1回取得した」とみなされます。1人の子につき2回撤回した場合は、出生時育児休業の取得ができません。 

【出生時育児休業】開始日・終了日の変更 

出生時育児休業では、一定の事由に該当するケースに限り、休業1回につき1回に限り休業開始日を繰り上げ変更できます。 

繰り上げが可能となるのは、当初開始しようとしていた日の前日までに、以下いずれかのケースに該当した場合です。 

  • ​​出産予定日よりも早く子が出生した場合​ 
  • ​​配偶者の死亡、病気、負傷等の特別の事情がある場合​ 

従業員の希望どおりに繰り上げ変更するためには、変更後の開始日の1週間前までに申し出る必要があります。 

申出がこれよりも遅れた場合には、会社は従業員が変更後の休業を開始しようとする日以後、変更の申出日の翌日から起算して1週間を経過する日を指定することが可能です。 

これに対して休業終了日の繰り下げ変更の場合は、当初終了を予定していた日の2週間前までに変更の申出が必要です。 

なお、出生時育児休業の開始日の繰り上げ変更もしくは終了日の繰り下げ変更をする際には、以下の事項を記載した書面で申し出を行う必要があります。 

  1. ​​変更の申出の年月日​ 
  1. ​​変更の申出をする労働者の氏名​ 
  1. ​​変更後休業を開始(終了)しようとする日​ 
  1. ​​変更の申出の事由(産後パパ育休を開始する日の繰上げ変更の場合のみ)​ 

​​引用:​Ⅱ-2 産後パパ育休制度(出生時育児休業制度)(厚生労働省) 

  【出生時育児休業】休業期間中の就労 

出生時育児休業では、労使協定のなかで「出生時育児休業期間中に就労させることができる」と定めた従業員に限り、休業期間中の就業を可能としています。 

この場合、従業員は休業開始前日までに、出生時育児休業期間中に就業できる日(就業可能日)を事業主に申し出なければなりません。 

なお、就業可能日の変更および撤回は、休業開始前日までに行えます。 

従業員からこの申出があった場合、会社側では、速やかに勤務シフト調整などを行い、従業員が申し出た就業可能日や時間帯の範囲内、かつ従業員の所定労働日数や所定労働時間等に対して一定の範囲内に収まる形で就業日、時間帯、労働条件等を書面で従業員に提示しなければなりません。 

提示された就業日等に対して、従業員が同意する場合には会社に対して書面により同意の意思表示を行います。 

従業員が休業開始予定日前日までに同意の意思表示をした場合、会社は同意を得た旨と就業日時等を従業員に速やかに書面により通知しなければなりません。 

つまり、会社が示した就業日等の内容について従業員本人の同意が得られた場合にのみ、出生時育児休業期間中の就業が可能になるということです。 

また、従業員は、就業日等の同意後も、休業開始予定日前日までであれば同意内容の全部または一部を撤回可能です。休業開始後についても、特別の事情がある場合は撤回できます。 

​​参考:​Ⅱ-2 産後パパ育休制度(出生時育児休業制度)(厚生労働省) 

 育児休業とは? 

続いて、紹介するのが「育児休業」です。育児休業とは、「1歳になるまでの子どもを育てる従業員が、育児のために会社を一定期間休める制度」になります。ここでは、以下の流れで育児休業の概要を紹介しましょう。 

対象従業員 

  • 対象期間・休業期間と回数 
  • 申出制限 
  • 休業期間の終了・申出の撤回 
  • 開始日の変更 
  • 休業期間中の就労 

【育児休業】対象従業員 

育児休業の対象となるのは、原則として1歳に満たない子を養育する男女の従業員です。いわゆる日雇いの従業員は除きます。 

パートやアルバイトなどで労働契約に期間の定めがある場合、申出時点で以下の要件を満たす必要があります。 

​​子が1歳6か月に達する日までに、労働契約(更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと。​ 

​​引用:​育児休業(厚生労働省) 

 

また、労使協定を締結している場合、以下の従業員について対象外になります。 

  • ​​継続雇用1年未満​ 
  • ​​申出の日から1年(1歳以降の休業の場合は、6か月)以内に雇用関係が終了することが明らかである​ 
  • ​​1週間の所定労働日数が​2​日​​以下​ 

​​引用:​育児休業(厚生労働省) 

 【育児休業】対象となる子 

原則は「1歳に満たない子」が対象です。ここでいう「子」は、先述の出生時育児休業と同様に、従業員との法律上の親子関係がある必要があります。実子・養子は問いません。男性従業員が事実婚の妻の子に対して育児休業を取得する場合は、申出時点で認知が行われている必要があります。 

なお、子を保育所に入所させることを希望しているものの、入所できない等の特別な事情がある場合は、「子が最大2歳」になるまでの取得が可能になります。 

参考:育児休業(厚生労働省) 

【育児休業】利用期間と回数 

原則は、「子が1歳に達するまでの連続した期間」のなかで、「子1人につき、原則2回」の利用が可能です。回数については、2022年10月1日から、男女ともにそれぞれ2回を分けて取得できるようになりました。 

また、配偶者が育児休業をしている等の場合は、子が1歳2ヵ月に達するまで、以下3つの期間を合計して1年以内の休業が可能です。この仕組みを、パパ・ママ育休プラスと呼びます。 

  • ​​出生日以後の産前・産後休業​ 
  • ​​育児休業​ 
  • ​​出生時育児休業(産後パパ育休)​ 

ただし、保育所への入所を希望しているものの、入所できない等の特別な事情がある場合は、以下の期間・回数での取得が可能となります。 

  • ​​子が最大2歳に達するまで取得可​​​​能​ 
  • ​​再度(2回を超えての)取得可能​ 

​​参考:​育児休業(厚生労働省) 

【育児休業】申出制限(手続き方法) 

育児休業を取得する従業員は、休業開始予定日の1ヵ月前までに書面等を通じて事業主に申出を行うのが原則です。ただし、1歳以降の育児休業の場合は、2週間前までの申出が求められます。 

​​参考:​育児休業(厚生労働省) 

【育児休業】休業期間の終了・申出の撤回 

以下の事由に該当した場合、育児休業は終了します。この場合の終了日は、以下の①~④それぞれで掲げられている日です。 

  1. ​​子の死亡等育児休業の対象の子を養育しないこととなった場合 
    ⇒当該事由が発生した日​ 
  1. ​​育児休業の対象の子が1歳に達した場合等 
    ⇒子が1歳に達した日(1歳6か月、2歳までの育児休業の場合はその年齢に達した日、パパママ育休プラスの場合は1歳2か月に達した日)​ 

​​申出者について、産前・産後休業、出生時育児休業、介護休業又は新たな育児休業期間が始まった場合 
⇒産前・産後休業、出生時育児休業、介護休業又は新たな育児休業の開始日の前日​ 

  ​​参考:​育児介護休業法のあらまし 

 上記のうち、育児休業対象の子を養育しないこととなった場合、従業員は会社にその旨を通知しなければなりません。育児休業開始前の場合には育児休業の申出はされなかったことになります。 

なお、育児休業は、開始予定日の前日までに書面を提出することで、申出自体を撤回可能です。1歳までの子に関する育児休業の場合は1回の休業を取得したものとみなされます。また、1歳6か月までの子、2歳までの子に関する育児休業の場合は、原則として以下の特別の事情がない限り、申出対象の子について再び育児休業の申出をすることができなくなります。 

  • ​​配偶者の死亡​ 
  • ​​配偶者が負傷、疾病等により子の養育が困難な状態になった​ 
  • ​​離婚等により配偶者が子と同居しないこととなった​ など 

​​引用:​育児休業(厚生労働省) 

 ただし、1歳までの子の育児休業の申出を撤回した場合であっても、子が1歳に達する日において育児休業中の配偶者と交代する場合は1歳以降の、また1歳6か月までの子の育児休業の申出を撤回した場合であっても、子が1歳6か月に達する日において育児休業中の配偶者と交代する場合は1歳6か月以降の育児休業申出がそれぞれ可能になります。

【育児休業】開始日・終了日の変更 

育児休業は、要件を満たせば「開始日の繰り上げ」および「終了日の繰り下げ」ができます。 

繰り上げ変更は1歳までの育児休業1回につき1回、繰り下げは、1歳までの育児休業1回につき1回、1歳から1歳6か月までの育児休業で1回、1歳6か月から2歳までの育児休業で1回、それぞれ行えます。 

 繰り上げ変更が可能な場合は、育児休業開始予定日前日までに以下の特別の事情がある場合に限ります。(変更後の休業開始予定日の1週間前までに申出が必要です。) 

  • 出産予定日より早く子が生まれた場合 
  • 配偶者の死亡、病気、負傷等 

繰り下げ変更については、1歳までの育児休業の場合は終了予定日の1か月前まで、1歳6か月まで、または2歳までの育児休業の場合は終了予定日の2週間前までに書面により申出を行わなければなりません。 

​​参考:​育児介護休業法のあらまし(厚生労働省) 

【育児休業】休業期間中の就労 

育児・介護休業法では、育児休業期間中の従業員に就労させることを想定していません。子の養育を行うために休業期間中の労務提供義務を消滅させる制度であるためです。 

ただし、労使で話し合いをすれば、子の養育をする必要がない期間に限り、一時的かつ臨時的に育児休業期間中の就労を行うことが可能です。その就労が恒常的・定期的である場合は、そもそも育児休業として取り扱われない可能性があるため注意が必要です。 

参考:事業主・労働者の皆さまへ|育児休業中の就労について(厚生労働省) 

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出生時育児休業と育児休業の違い 

「出生時育児休業(産後パパ育休)」と「育児休業」の主な違いを整理すると、以下のとおりになります。 

​​項目​ 

​​出生時育児休業(産後パパ育休)​ 

​​育児休業​ 

​​対象期間/取得可能日数​ 

​​​​子​​の出生後8週間以内に4週間まで取得可能​ 

​​原則は子が1歳まで​ 

​​(要件に該当すると最長2歳まで)​ 

​​申出期間​ 

​​原則は休業開始の2週間前まで​ 

​​原則は休業開始の1ヵ月前まで​(1歳以降の育児休業の場合は2週間前まで) 

​​分割取得​ 

​​分割して2回の取得が可能​ 

​​(最初にまとめて申し出る必要あり)​ 

​​分割して2回の取得が可能​ 

​​(取得時にそれぞれ申し出る)​ 

​​期間変更​ 

​​可(開始日繰り上げ/終了日繰り下げ)​ 

​​可(開始日繰り上げ/終了日繰り下げ)​ 

​​休業中の就労​ 

​​労使協定を締結している場合に限り、従業員が合意した範囲内で就労可能​ 

​​原則は不可(一時的・臨時的な就労は可能な場合もある)​ 

 出生時育児休業と育児休業の併用について 

出生時育児休業と育児休業は、1人の子について異なる時期に取得できる制度です。では、子の出生~1歳になるまでの間、従業員はこれらの制度を併用できるのでしょうか。答えは、対象の従業員が男性・女性のどちらであるかで変わります。以下で詳しく見ていきましょう。 

  • 男性は併用可能 
  • 女性は基本的に併用不可能 

男性は併用可能 

出生時育児休業は「産後パパ育休」と呼ばれているとおり、子の出生後に自らは出産しない男性(パパ)の従業員でも子育てのサポートをするための休業を柔軟に取得できる制度です。そのため、男性の場合は、出生時育児休業と育児休業の併用が可能となります。 

たとえば、子が出生した直後から最大28日間の出生時育児休業を取得したあと、そこから続けて育児休業に入ることも可能です。 

女性は基本的に併用不可能 

一方で女性の従業員の場合は、出産の前後で産前・産後休業を取得します。このうち産後休業の期間が出生時育児休業の期間と重なるため、出生時育児休業と育児休業を併用する必要がありません。 

ただし、女性の従業員であっても養子縁組などを通して親になる場合は、産前・産後休業を取得できませんが、出生時育児休業を取得できることがあります。このケースに該当する女性の従業員は、出生時育児休業と育児休業の併用が可能になります。 

出生時育児休業と育児休業における取得パターン 

出生時育児休業および育児休業の取得開始日や取得期間は、各従業員の判断に委ねられます。そこで従業員が初めてこの制度を利用する場合、自分の業務との兼ね合いや子育て参加のビジョンが定まらないことで、「どちらの制度をどのように使うべきか?」という点で悩みを抱えたりするかもしれません。 

この章では、これまで紹介してきた出生時育児休業および育児休業の特徴から見えてくる、各休業のおすすめ度が高い従業員の特徴を見ていきましょう。 

  • 出生時育児休業を取得しやすい従業員 
  • 育児休業を取得しやすい従業員 
  • 出生時育児休業と育児休業を併用しやすい従業員 

出生時育児休業を取得しやすい従業員 

出生時育児休業は「休業開始の2週間前の申出」で良いことから、柔軟性が高いのが特徴です。たとえば出産時期がわかりづらかったり、仕事の進捗を踏まえて休業開始日を決めたかったりする場合、出生時育児休業は比較的利用しやすい制度になります。 

また、労使協定の定めにより会社と合意することで、休業中に働くことも可能です。これは、子の出生までに完全な引き継ぎが難しかったり、どうしても抜けられないプロジェクトのなかで時々出社する必要がある場合に利用しやすいといえるでしょう。 

この2つの特徴から、出生時育児休業は以下のような従業員が特に利用しやすい制度になります。 

  • ​​出産日が近づいてから申請手続きをしたい​ 
  • ​​休業中もそれなりに働きたい​ 

 育児休業を取得しやすい従業員 

育児休業は、子が1歳になるまでであれば、出生時育児休業の4週間(28日)を超えて取得できます。また、保育園が見つからないなどの特別な事情があれば、最大2歳までの休業が可能です。これは、子の出生後にじっくり子育てをしたかったり、保育園を見つけることが大変な地域で暮らしていたりする場合に大きなメリットになるでしょう。 

また、育児休業は、子の養育をするために、休業期間中の労務提供義務を消滅させるという目的があるため、そもそも休業中に就労することを想定していません。労使が話し合いをすれば、子の養育の必要がない期間に限り一時的・臨時的に就労できますが、それはたとえば「毎週1回レビューに来る」や「夕方は毎日リモート接続する」といったものであり、恒常的・定期的なものではありません。 

そのため、育児休業は、以下のような従業員が特に利用しやすい制度になります。 

  • ​​4週間(28日間)を超えて長期休業したい​ 
  • ​​休業中に働くつもりはない​ 

出生時育児休業と育児休業を併用しやすい従業員 

出生時育児休業と育児休業の併用に適しているのは、ママの体調や子育て環境、仕事の状況といった背景から、「どのくらい休めるのか?」について迷っているケースです。この場合、まずは子の出生直後から出生時育児休業を取得して、子育ておよび仕事の状況を見ながら、その後に取得できる育児休業について具体的な期間や回数を決めていくイメージになります。 

育児による休業中の賃金の考え方および給付金制度 

子の出生~育児による休業を取得するにあたり、多くの従業員が心配するのが「お金」の問題です。具体的には「休業中も給料が支払われるのか?」「支払われない場合、給付金などはもらえるのか?」といったことで不安や疑問を感じ、その回答次第で休業の取得方法を変えようとする従業員も少なからずいるでしょう。 

ここでは、育児休業中の従業員についての、給与支払いおよび、給付金の概要を紹介します。 

  • 育休中の従業員にも給与は支払われる? 
  • 育休中の従業員を対象とする3つの給付金 

育休中の従業員にも給与は支払われる?  

妊娠や育児を理由とする休業中の給与や賞与の支給については、各企業が独自に就業規則などでルールを定めています。休業中に有給とする規定がない場合には、産休・育休中はいずれも無給になります。 

育児休業の取得に向けた従業員による情報収集をしやすくするうえでも、企業の担当者は就業規則などで、出生時育児休業および育児休業の間の給与および賞与の支給方法について規定する必要があるでしょう。 

育休中の従業員を対象とする3つの給付金 

育児休業および出生時育児休業中の従業員が無給になる場合や、給与が大幅に減額になる場合、所定の要件を満たせば雇用保険から「育児休業給付金」「出生時育児休業給付金」「出生後休業支援給付金」が支給されます。 

各給付金の概要は、以下のとおりです。 

​​給付金名​ 

​​関係する育児休業の種類​ 

​​支給額の基本的な考え​​​​方​ 

​​①出生時育児休業給付金​ 

​​出生時育児休業(産後パパ育休)​ 

​​休業前の給与の67%​ 

​​②育児休業給付金​ 

​​育児休業​ 

開始日から181日以降は50% 

​​③​​出生後休業​​支援​​給付金​ 

​​両親ともに育児休業を取得​ 

​​上記に13%を上乗せ​ 

(上限は28日分) 

 「①出生時育児休業給付金」と「②育児休業給付金」は、それぞれの休業を取得し、給付金の支給要件をクリアしたときに対象になります。 

これに対して「③出生後休業支援給付金」は、両親ともに14日以上の育児休業を取得した場合に、先述の出生時育児休業給付金または育児休業給付金とあわせて最大で28日分支給されます。子育て世帯の共働き・共育てを推進する目的から、2025年4月に創設されました。 

なお、上記の給付金には、支給要件や支給額の計算式など詳細な注意点があります。詳しい情報は、厚生労働省の以下のページを確認してください。 

​​参考:​育児休業給付について(厚生労働省) 

​​参考:​2025年4月から「出生後休業支援給付金」を創設しました(厚生労働省) 

出生時育児休業・育児休業と社会保険料の免除について 

従業員が出生時育児休業や育児休業を取得する場合、毎月の給与から天引きで徴収されている社会保険料の取り扱いについても、気になることだと思います。従業員がこれらの育児休業を取得した各月の社会保険料は、申出により被保険者本人分および事業主負担分の両方が免除されます。 

これに対して賞与にかかる社会保険料は、賞与を支払った月の末日を含む連続した1ヵ月を超える育児休業(※産後パパ育休も含む)を取得した場合に、免除されます。 

出生時育児休業と育児休業を運用するうえでの注意点 

対象従業員に出生時育児休業および育児休業を積極的に取得してもらい、なおかつ休業期間中の業務に支障をきたさないようにするためには、企業側でもいくつかの準備や対応が必要です。ここでは、育児休業の積極的な取得につながる3つのポイントを解説します。 

  • 育児休業を取得しやすい風土をつくる 
  • 正しい情報を周知する 
  • 休業中の業務に支障しない体制を整備する 

育児休業を取得しやすい風土をつくる 

育児休業の積極的な利用を促すためには、仕事と生活を両立しやすい組織風土をつくることが重要です。 

たとえば、育児休業を取得する可能性が高い若手従業員に「制度は知っているけれど、上司に嫌味を言われるから休みづらい」や「休んだら自分の居場所がなくなりそう」といった不安や違和感がある場合は、取得を促す前に、まずは迷いなく休める風土をつくる必要があるでしょう。 

具体的な施策は、企業ごとに異なります。 

育児休業の検討や相談をした時点で上司や同僚から嫌味を言われたり、不利益な扱いを受けたりする場合には、まずは管理職教育を行い、従業員が産後パパ育休などを取得することの重要性から伝えることも一つの方法です。もし育児休業を取得した従業員の評価を合理的な理由もなく下げたり、キャリア実現が閉ざされたりするような風土があれば、それらは改善しなければなりません。 

育児介護休業法により、育児休業の申出、取得等に伴う、解雇その他の人事上の不利益な取扱いは禁じられています。上記の例のような人事評価や昇進、昇格、異動などにおける不利益な取扱いも禁じられていますので、注意が必要です。

仕事と育児の両立に関する制度の利用についての正しい情報を周知する 

会社には従業員が育児休業を取得しやすい雇用環境整備、および妊娠・出産の申出をした従業員に対する育児休業制度に関する個別の周知・意向確認の措置が義務づけられています。 

2025(令和7)年10月の育児介護休業法改正により、育児休業取得だけでなく、小学校入学までの子の育児と仕事の両立をトータルでとらえた制度についての個別周知や利用の意向聴取、働き方への配慮なども企業に義務付けられました。 

企業には、育児休業の取得にとどまらず、柔軟な働き方が可能な制度を整備し、適切に運用することが求められています。なお、厚生労働省の公式サイトでは、育児休業をはじめとした仕事と育児の両立に関する制度等の周知や意向確認で活用できるフォーマット類を公開しています。従業員の積極的な制度利用を促進するためには、このような資料を活用しながら従業員の不安をひとつずつ解消していく姿勢が求められます。 

​​参考:​仕事と育児の両立のための制度周知等様式集(厚生労働省) 

休業中の業務に支障が出ない体制を整備する 

従業員が育児休業を積極的に取得できるようにするためには、従業員が休業開始の2週間前に出生時育児休業の取得を申し出たり、子が1歳になるまで長期間の育児休業を取得したりしても、業務に支障が出ない体制を作ることも大切です。 

たとえば、業務の属人化によって休業を申し出られない状況がある場合は、業務の標準化を進めることも一つでしょう。また、慢性的な人手不足が背景にある場合には、新たな人員の確保やITツールなどを活用した業務効率化も選択肢に入るかもしれません。 

従業員が育児休業などを取得してワーク・ライフ・バランスを維持できる環境を整備するためには、従業員が休業できない理由を把握したうえで、その改善に向けた体制の整備や業務の効率化、職場風土の変革などの対応が必要です。 

現状把握を行う上では、従業員へのアンケートや管理職へのヒアリングなどを実施するのも一案です。 

 出生時育児休業(産後パパ育休)について解説しました 

出生時育児休業(産後パパ育休)は、子の出生直後における男性の育児参加をしやすくする柔軟性の高い制度です。 

自社の男性従業員にこの制度の積極的な利用を促すためには、担当者自身が制度内容を理解したうえで、情報の個別周知や意向確認などを行う必要があります。また、男性従業員の育休取得率を高めるためには、従業員がワーク・ライフ・バランスを高めやすい組織体制づくりや業務の進め方の見直し、制度に関する従業員教育なども必要でしょう。 

人事労務向けAIエージェント「WorkOn」
安森 将
監修

安森 将

やすもり社会保険労務士事務所 代表

大学卒業後、大手鉄道会社の総合職として 25 年間、主に人事、営業戦略、新幹線予約システム開発業務に携わった後、退職。退職後は社会保険労務士、行政書士などの国家試験に合格し、2023 年に社会保険労務士として開業(現職)。企業勤務時代の経験を活かし、人事労務分野を中心とした会社経営に関する様々な相談業務、働き方改革推進支援センター(厚生労働省委託事業)の専門家、臨時労働保険指導員(東京労働局)としての業務等に従事。大手企業各社オウンドメディア等の人事労務に関する記事執筆や監修の実績も多数。
Professional AI Media編集部
執筆

Professional AI Media編集部

株式会社On Technologiesが運営する「AIによる業務変革と成長を支援する Professional AI Media」を編集しています。