人事労務向けAIエージェント「WorkOn」

今すぐ無料資料ダウンロード

欠勤控除とは?適用範囲や計算方法を徹底解説!

欠勤控除とは?適用範囲や計算方法を徹底解説!
この記事を読んでわかること
  • 欠勤控除の意味・根拠と、減給・有給休暇との違い
  • 欠勤控除が適用される・されないケースの判断基準
  • 月給制・遅刻早退それぞれの計算方法と具体例
  • 不当控除にならないための就業規則上の注意点

【勤怠管理の基本】休憩・休日・有給休暇のルール総まとめ

無料でダウンロードする

欠勤控除は、会社が定めた休日や休暇以外の出勤しなければならない日に休んだり(欠勤)、遅刻や早退があった場合などに、その分の賃金を差し引く手続きのことです。年次有給休暇を使い切った従業員がさらに病気などで休んだ(欠勤した)場合もこれに該当します。欠勤控除に対する規定は労働基準法にはありませんが、ノーワーク・ノーペイの原則に基づき当然に行えるものと考えられています。

欠勤控除が適切に行われないと、従業員とのトラブルにつながる可能性もあります。今回は、欠勤控除が適用される範囲や計算方法、適切な取扱いのためのポイントをまとめました。

人事労務向けAIエージェント「WorkOn」

WorkOn資料ダウンロードはこちら≫

欠勤控除とは

欠勤控除とは、従業員が所定の勤務日に欠勤や遅刻・早退をした場合に、その日数や時間分の賃金を差し引くことです。欠勤控除は就業規則や賃金規程の定めに従って計算されます。

まずは欠勤控除の定義、人事評価や給与明細上での扱いについて見ていきましょう。

欠勤控除の根拠は「ノーワーク・ノーペイの原則」

欠勤控除は「ノーワーク・ノーペイの原則」に則って定められています。ノーワーク・ノーペイの原則は「労働者が労務を提供していない時間については、使用者は労務の対価としての賃金を支払う義務がない」という考え方です。

ただしこの原則には、例外もあります。年次有給休暇を取得した場合や会社都合で休業させた場合などは、労務の提供がなくても賃金の支払いが必要です。また欠勤控除の適用にあたっては、1分単位での正確な計算が必要になります。

欠勤控除を適用する際は、本当にその対象になるか、計算方法が適切かを慎重に判断しましょう。

欠勤と人事評価の関係

欠勤は人事評価にも、影響を与える場合があります。頻繁な欠勤は、勤務態度や責任感の評価項目でマイナスです。一般的には昇給や昇進にも影響します。

ただし病気療養など、正当な理由による欠勤を過度に人事評価に反映させることは、不当な扱いとみなされる可能性があります。評価基準を明確にし、公平な運用を行いましょう。

欠勤控除の給与明細の書き方

給与明細には欠勤控除の内容を明確に記載する必要があります。「欠勤控除」「欠勤日数」「控除額」といった項目を設け、従業員が控除の理由と金額を把握できるようにします。

また各種手当や固定残業代の取り扱いについては、就業規則で定めた内容に従います。基本給のみを控除対象とするのか、諸手当も含めるのかによって控除額が変わるので、明確なルール設定が必要です。手当の性質によっては欠勤控除になじまないもの(福利厚生的な性質の手当)もあるため、注意が必要です。

なお退職後の欠勤控除が発生した場合は、最終給与で調整します。控除額が給与を上回る場合は、本人への請求が必要になることもあるので、退職手続きの際に確認を行いましょう。

年次有給休暇との扱いの違い

年次有給休暇は一定期間勤続した従業員が申し出ることで、労務提供義務が免除されるものです。年次有給休暇取得日は「出勤したもの」とみなされて、その分の賃金が支払われます。

欠勤控除は、年次有給休暇を取得せず(できず)に欠勤した場合に適用されます。したがって年次有給休暇を取得した場合は欠勤にあたらないため、欠勤控除は行われません。

欠勤控除の適用範囲については、次章で詳しく解説します。

なお、「減給」は従業員の規則違反等に対する懲戒処分の一種です。規則違反等の際のペナルティとして減給されるもので、欠勤控除とは扱いが異なります。

減給は労働基準法で上限が定められていますが、欠勤控除は就業規則などに基づき規定されています。

欠勤控除の適用範囲

欠勤控除を正しく運用するには、控除対象になるケースを正確に理解する必要があります。

欠勤控除が適用されるケースと適用されないケースを、それぞれまとめました。

欠勤控除が適用されるケース

欠勤控除が適用される主なケースは、以下の2つです。

  • 年次有給休暇を取得せずに休んだ
  • 遅刻・早退をした

年次有給休暇を取得せずに休んだ場合は、欠勤控除の対象となります。年次有給休暇の残日数がない状態で休んだり、年次有給休暇を使わずに欠勤扱いを希望したりした場合などです。

従業員からの欠勤の連絡を受けた際は、年次有給休暇の残日数を確認し、本人の意思を確認するとよいでしょう。

また遅刻・早退をした場合も、その時間分を控除することができます。数分の遅刻であっても、労務提供がなかった時間として、控除の対象となります。

従業員との間での行き違いを避けるため、就業規則で遅刻・早退の取り扱いを明確にしておきましょう。

欠勤控除が適用されないケース

以下の場合には、原則として、欠勤控除は適用されません。

  • 年次有給休暇を取得した
  • 会社都合で休ませた
  • 休職・休業期間

年次有給休暇を取得した場合は、欠勤控除の対象外です。年次有給休暇は労働基準法で保障された有給休暇です。取得した日については通常の賃金を支払う義務があります。

また会社都合で従業員を休ませた場合も、欠勤控除できません。この場合は、労働基準法の規定に基づき、休業手当として平均賃金の60%以上を支払う義務があります。

なお休職・休業期間についても、欠勤控除とは取り扱いが異なります。私傷病による休職、休暇の場合、就業規則の休職制度の定めとして無給とすることができます。同様に育児休業や介護休業などの法定の休業期間についても、欠勤ではないため、無給であっても控除という概念は適用されません。

そのほか、自然災害で出勤できないときは、原則として欠勤控除の対象外とすべきです。また、台風や地震などで交通機関が麻痺し、従業員が出勤できない状況は本人の責任ではないため欠勤控除の対象にするのは不適切です。裁判員などに選ばれた場合も、労働基準法の規定に基づき裁判員休暇を設けることにより、欠勤控除を行わないのが一般的です。

時間外労働の割増賃金と欠勤控除の関係は?

欠勤があった月に時間外労働も発生している場合、控除と割増賃金の支払いは別々に計算します。欠勤による控除額と時間外労働の割増賃金を相殺することは認められていません。

たとえば1日欠勤して別の日に残業をした場合、欠勤分は控除し、残業分は割増賃金を支払う必要があります。

時間外労働の割増賃金と欠勤控除を相殺してしまうと、時間外労働に対する割増賃金の未払いの扱いになります。労働基準法違反になるため、注意しましょう。

欠勤控除の計算方法

欠勤控除の計算方法にはいくつかの方法があります。いずれの方法を採用する場合も、就業規則に明記し、一貫した運用を行うことが重要です。

欠勤控除の主な計算方法を、見ていきましょう。

一般的な欠勤控除の計算式

欠勤控除を計算する際、1日分の給与を計算するにあたって、分母となる日数は以下のいずれかとします。

  • 欠勤した月の所定労働日数
  • 1か月所定労働日数
  • 欠勤した月の暦日数

月給制の正社員の場合、1か月の所定労働日数を基準に計算する方法が一般的です。

1か月の所定労働日数を基準に、欠勤控除を計算する場合、一般的には以下の計算式を使用します。

月の給与額÷欠勤があった月の所定労働日数×欠勤日数

月給30万円でその月の所定労働日数が20日、欠勤日数が2日の場合、「300,000円÷20日×2日=30,000円」が控除額となります。

また遅刻や早退をした場合、1分単位での計算を行う場合の式は、以下のとおりです。

月の給与額÷欠勤があった月の所定労働時間数×遅刻・早退時間

月給額を欠勤があった月の所定労働時間数で割り、1時間当たりの賃金を算出したうえで、遅刻や早退の合計時間を掛けます。

月給30万円・欠勤があった月の所定労働日数20日・1日の所定労働時間8時間で、2時間遅刻した場合は「300,000円÷(20日×8時間)×2時間=3,750円」が控除額です。

分単位で計算する場合は、さらに1時間あたりの単価を60で割って1分あたりの単価を求めます。なお控除額の円未満(小数点以下)は切り捨てです。

給与体系における欠勤控除の取り扱い

月給制では1か月分の給与が定められているので、欠勤があった場合、その分を控除する必要があります。

一方、日給制や時給制の場合は、そもそも働いた日数や時間に応じて賃金が決まるため、欠勤控除は適用されません。単純に勤務実績に基づいて支給額を計算します。

なおフレックスタイム制を導入している場合、実際の労働時間が「清算期間における総労働時間」を上回っている場合には、一般的に欠勤控除はできません。

また欠勤控除は、基本給からだけでなく、通勤手当や役職手当等の労務の対価として支給される性質の各種手当からも行えます。ただし家族手当や住宅手当など、福利厚生的性質が強く、欠勤控除の対象にすることになじまない手当もあることに注意しましょう。

人事労務向けAIエージェント「WorkOn」

WorkOn資料ダウンロードはこちら≫

欠勤控除の注意点

欠勤控除の取扱いを誤ると、法的トラブルに発展する可能性もあります。欠勤控除を取り扱う時の注意点をまとめました。

労働基準法に抵触しないためのポイント

欠勤控除の取扱いが労働基準法に違反していないか、きちんと確認する必要があります。特に全額払いの原則や最低賃金法、労働時間に関する規定との整合性に注意しましょう。

労働基準法に抵触しないためのポイントは、以下のとおりです。

  • 欠勤控除のルールは就業規則や賃金規程に明記しておく
  • 欠勤控除の計算方法・端数処理を明記しておく
  • 控除後の給与額が最低賃金を下回らないようにする
  • みなし残業代の扱いを明確にする
  • 税金・社会保険料の扱いを確認する
  • 端数処理に注意する

欠勤控除のルールは、就業規則や賃金規程に明記しておきましょう。控除の計算方法や対象となる手当の範囲、端数処理の方法などを具体的に規定します。

明確なルールがない状態で控除を行うと、賃金の不当な減額とみなされる可能性があります。就業規則や賃金規程に必要な項目を記載し、従業員への周知も十分に行ってください。

また手当の取り扱いを明確にすることも重要です。一般的には、勤務に応じて支給される性質の手当は控除の対象とし、家族手当や住宅手当など福利厚生的な手当は控除対象外になります。なお固定残業代(みなし残業代)は、就業規則に定めがあれば、欠勤控除の対象にできますが、実際の残業時間が欠勤控除後のみなし残業代で計算した残業時間を超えた場合、超過分の残業代を別途支払う必要があり、計算が煩雑になるので注意が必要です。

欠勤控除を行ったあとの給与額が、最低賃金を下回らないようにすることにも留意する必要があります。欠勤控除が多い月であっても、給与額は実際の労働時間に対する最低賃金を下回ってはなりません。

税金・社会保険料の扱いもあわせて確認しましょう。欠勤控除によって給与の支給額が減少すると、所得税や社会保険料の計算にも影響します。端数処理は一般的には円未満切り捨てとしますが、これも就業規則や賃金規程で明確にしておくと安心です。

不当な欠勤控除は違法

欠勤控除の対象となるのは、原則として、欠勤・遅刻・早退で働けなかった時間分だけです。それ以上の時間分を給与から差し引くことは、違法となります。

  • 月の遅刻回数が多いので、ペナルティとして指定の額を控除する
  • 遅刻・早退をきりのよい時間で扱うために、従業員に不利な形で切り捨て・切り上げ計算を行う

このような方法は、不当な欠勤控除に該当します。規則違反等のペナルティとして給与を差し引く場合は、懲戒処分としての減給を検討しましょう。

なお懲戒処分としての減給の場合も、就業規則での規定が必要です。

まとめ

欠勤控除はノーワーク・ノーペイの原則に基づいた正当な制度ですが、運用にはいくつかの注意が必要です。ポイントは、以下の3つです。

  • 就業規則でルールを定める
  • 1分単位で正確に計算する
  • 労働基準法に照らして、正しく運用する

まずは就業規則や賃金規程に欠勤控除のルールを定め、従業員に周知した上で、一貫性のある公平な運用を心がけることが重要です。

欠勤控除の計算方法は複数ありますが、いずれの場合も合理性と透明性を確保し、労働基準法や最低賃金法などの法令に抵触しないよう注意しましょう。

また欠勤控除の対象となるケースと対象外となるケースを正確に判断し、不当な控除によるトラブルを防ぐことが求められます。

適切な欠勤控除の運用は、公正な労務管理の基盤です。従業員との信頼関係を築く上でも重要な要素になります。

今回のポイントを参考に、自社の制度を見直し、より適切な運用を目指してください。

人事労務向けAIエージェント「WorkOn」
安森 将
監修

安森 将

やすもり社会保険労務士事務所 代表

大学卒業後、大手鉄道会社の総合職として 25 年間、主に人事、営業戦略、新幹線予約システム開発業務に携わった後、退職。退職後は社会保険労務士、行政書士などの国家試験に合格し、2023 年に社会保険労務士として開業(現職)。企業勤務時代の経験を活かし、人事労務分野を中心とした会社経営に関する様々な相談業務、働き方改革推進支援センター(厚生労働省委託事業)の専門家、臨時労働保険指導員(東京労働局)としての業務等に従事。大手企業各社オウンドメディア等の人事労務に関する記事執筆や監修の実績も多数。
Professional AI Media編集部
執筆

Professional AI Media編集部

株式会社On Technologiesが運営する「AIによる業務変革と成長を支援する Professional AI Media」を編集しています。