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扶養控除等申告書とは?年末調整に欠かせない書類の書き方と提出ルールを解説

扶養控除等申告書とは?年末調整に欠かせない書類の書き方と提出ルールを解説
この記事を読んでわかること
  • 扶養控除等申告書の役割と、年末調整・源泉徴収税額への影響
  • 提出が必要な従業員の範囲と、入社時・年末調整時の提出タイミング
  • 源泉控除対象配偶者・扶養親族・障害者控除など、申告できる主な控除項目
  • 2026年以降の制度変更や、企業側が準備すべき実務対応のポイント

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従業員の年末調整を正確に行うには、「扶養控除等(異動)申告書(以下「扶養控除等申告書」と呼びます。)」の提出が欠かせません。いわゆる「マル扶」と呼ばれるこの書類は、扶養親族や配偶者の有無を把握し、所得税の源泉徴収額(以下「源泉徴収税額」と呼びます。)を正確に計算するための情報源です。 

 

本記事では、企業側の実務担当者が押さえておくべき扶養控除等申告書の基礎知識、提出対象やタイミング、書き方のポイント、さらに2026年以降の制度変更まで、網羅的に解説します。 

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目次

年末調整に不可欠な扶養控除等申告書 

「扶養控除等申告書」は、従業員が所得税の計算上適切な控除を受けるために提出する書類であり、企業はこれを受理して正しく源泉徴収を行う義務があります。この申告書は、配偶者、扶養親族の有無や所得状況を把握するためのもので、適切な源泉徴収税額の算定に直結する書類です。 

 

扶養控除等申告書とは 

従業員の扶養状況や配偶者の所得などを申告させるために用いられる「扶養控除等申告書」は、正確な源泉徴収税額を算定するうえで不可欠な書類です。特に年末調整時には、この書類の内容が税額に直接影響するため、企業側にとっても管理と確認が求められます。ここでは、扶養控除等申告書の正式名称や役割について詳しく見ていきましょう。 

 

正式名称と通称(マル扶)の違い 

「扶養控除等(異動)申告書」は、その正式名称の長さから、実務上は「マル扶」と略されることが一般的です。税務署や年末調整の書類一覧でも「マル扶」で通じるほど広く認知されています。 

 

所得税と住民税に影響する書類の役割 

扶養控除等申告書は、年末調整時に適用すべき所得控除(扶養控除・配偶者控除・障害者控除など)を申告するために必要です。提出しなければ税金の払いすぎとなり、従業員が不要な税負担を強いられるおそれもあります。 

 

提出対象者とタイミング 

扶養控除等申告書は、源泉徴収税額の算定に直結する重要な書類であるため、提出の対象者や時期について企業側が正しく把握しておく必要があります。提出の遅れや漏れがあると、年末調整が適切に行えず、従業員にも不利益が生じかねません。提出の対象者とタイミングについて詳しく見ていきましょう。 

 

提出が必要な雇用形態 

原則として、自社を「主たる給与の支払者」として届け出ているすべての従業員が対象です。他社で提出済みの副業の方は対象外となります。 

 

提出のタイミング(入社時・年末調整時) 

年末調整時には、翌年分の申告として、扶養状況の変更の有無にかかわらず全従業員から提出を受ける必要があります。年の途中で入社した場合には、最初の給与支払日の前日までに提出を受けなければなりません。 

 

扶養控除申告書で申告できる主な所得控除 

扶養控除等申告書では、年末調整において適用すべき各種所得控除を従業員が自己申告する形式となっており、企業側ではそれに基づいて源泉徴収税額を計算します。この書類に正確な控除内容の記載がなければ、本来受けられる控除が反映されず、従業員に過剰な税負担が生じる可能性があります。代表的な控除項目と記載時の留意点について詳しく見ていきましょう。 

 

源泉控除対象配偶者 

源泉控除対象配偶者とは、給与所得者本人の合計所得金額が900万円以下である場合に、生計を一にして合計所得金額が95万円以下である配偶者のことです。配偶者の収入が給与収入だけの場合、その年収が160万円以下であれば要件を満たします。 

企業側としては、配偶者の所得見積額が95万円を超えていないか、また従業員本人の合計所得金額が上限に近づいていないかなど、記載内容に注意を払う必要があります。 

 

控除対象扶養親族(16歳以上) 

扶養控除の対象となるのは、16歳以上の親族です。19歳以上23歳未満の「特定扶養親族」に該当する場合は、通常よりも控除額が高く設定されています。 

その他の控除(障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生) 

障害者控除・寡婦控除・ひとり親控除・勤労学生控除など、個人の事情に応じた所得控除も申告可能です。 

これらの控除は、要件に合致しなければ適用できないため、必要に応じて証明書類や申告理由の確認を行う体制づくりが企業には求められます。 

 

扶養控除等申告書の書き方 

令和8年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

出典:国税庁「令和8年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」


扶養控除等申告書は、年末調整に不可欠な法定書類であり、従業員本人が正確に記載することはもちろん、企業側でも内容の不備を見落とさない確認体制が求められます。各欄ごとに記載内容の意味と注意点が異なるため、誤記や漏れがないかを丁寧にチェックする必要があります。 

 

基本情報の記載欄 

従業員本人の氏名、生年月日、現住所、個人番号などの基本事項を記載する欄です。婚姻や引越しにより旧姓や旧住所が変わったにもかかわらず、そのまま提出されているケースもあるため、社員情報との整合性を確認しておくことが重要です。マイナンバーの記載を確認する際は、番号法に基づき厳重に管理し、本人確認を併せて行う体制を整えておくことが重要です。 

 

A.源泉控除対象配偶者 

「源泉控除対象配偶者」に該当する場合は、配偶者の氏名・生年月日・所得の見積額を記載します。配偶者の合計所得が95万円を超えると控除対象外となるため、記載された金額が要件を満たしているかを確認する必要があります。特に扶養の可否が変わる見込みがある場合は、本人からの申告時にヒアリングを行うとよいでしょう。 

 

B.控除対象扶養親族 

扶養控除の対象となる16歳以上の親族の氏名・続柄・生年月日・住所・同居の有無などを記載します。「生計を一にしていること」が条件であるため、別居している場合には生活費負担の実態なども含めた確認が必要となることがあります。学生などの特定扶養親族は控除額が変動するため、年齢確認にも留意が必要です。 

 

C.障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生 

本人が該当する場合には、該当項目にチェックを入れることで追加の所得控除が適用されます。記入漏れが多く見られる欄の一つであるため、対象となる従業員には制度の概要や該当要件を事前に案内しておくことが実務上有効です。該当の有無を正しく把握するには、障害者手帳や証明書類の提示が求められることもあります。 

 

D.他の所得者が控除を受ける扶養親族等 

配偶者など他の家族が同じ親族に対して控除を受ける場合、その親族をここに記載する必要があります。共働き世帯などでは扶養控除の二重適用を避けるためにも重要な欄であり、記載の有無によって後の税務調査で差し戻しが発生しかねません。 

住民税に関する事項(16歳未満の記載・退職手当等) 

所得税上は扶養控除の対象とならない16歳未満の扶養親族であっても、住民税の非課税判定や均等割の軽減措置に影響するため、申告が求められます。特に子育て世帯にとっては重要な情報であるため、企業側で漏れがないかを重点的に確認しましょう。 

また、退職所得が見込まれる従業員については、記載内容に応じて住民税の取り扱いが変動する可能性があるため、該当の旨が記入されているかも確認が必要です。 

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書類作成時の留意点 

扶養控除等申告書の作成時には、単なる記入方法だけでなく、法的なルールや所得控除の要件を正しく理解しておくことが求められます。とくに企業側が確認すべきポイントや、従業員からの提出書類をチェックするうえで見落としやすい点について、以下で詳しく解説します。 

 

扶養親族の年齢に応じた控除額の違い 

扶養控除の額は、扶養親族の年齢区分に応じて異なります。特に「特定扶養親族」に該当する19歳以上23歳未満の扶養親族は、通常より高い控除額が設定されているため、該当するかどうかの判定が重要です。 

企業としても年齢に応じた分類のミスがないか、記載内容と生年月日の整合性をチェックすることが求められます。 

 

提出先は1社のみ(副業時の注意点) 

扶養控除等申告書は、1人の従業員が1年間で1社だけに提出できる書類です。副業をしている場合であっても、提出先は「主たる給与の支払者(メインの勤務先)」に限定されます。副業先に誤って提出してしまうと、源泉徴収税額が正しく計算されず、年末調整の際に多額の追徴課税が発生するリスクがあります。 

企業側も「主たる勤務先」であることを認識し、申告書の提出状況を適切に管理しておくことが必要です。 

 

書類不備による年末調整漏れのリスク 

記載漏れ、誤字脱字、控除対象者の区分間違いなどの不備があると、年末調整で正確な所得控除が適用されず、従業員にとって不利益な税負担が生じる可能性があります。企業としても、書類の不備をそのまま放置した場合、従業員からの信頼感の低下や再計算の対応など業務上の負担につながるため、提出後の確認体制を整えることが重要です。 

提出された書類は、必ず担当者が内容を精査し、必要に応じて従業員へ差し戻し・修正依頼を行いましょう。 

 

2026年以降の変更点と新制度 

扶養控除等申告書に関しては、毎年の税制改正や社会的な環境変化を背景に、控除の適用基準や対象範囲が見直される可能性があります。 

企業の人事・経理部門では、従業員から提出される書類を正しく処理するためにも、改正情報をいち早く把握し、年末調整業務に反映することが重要です。 

 

特定親族特別控除(アルバイト学生の対応) 

年収が一定以上ある扶養親族については、扶養控除の対象外となる可能性があり、企業としても事前に従業員からの申告内容を確認し、正確な所得の見積額の記載を促さなければなりません。 

とくに、アルバイト収入増による扶養判定の変更が実務に影響を与える可能性があるため、該当者がいる場合には丁寧な説明と情報提供が求められます。 

 

令和7(2025)年度の税制改正では、特定親族特別控除が新たに設けられました。これにより19歳以上23歳未満の親族で合計所得が58万円超123万円以下の場合に、新たに所得控除が行われることになり、これまで扶養控除の対象ではなかった親族が所得控除の対象になりました。アルバイト収入などが増えてもこれに該当する場合には控除が受けられますが、令和7(2025)年の年末調整より新たに「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」による申告が必要になったことに注意が必要です。 

扶養控除・配偶者控除制度の見直し動向 

扶養控除や配偶者控除については、少子高齢化とそれに伴う多様な働き方の従業員の活躍を促すべく、今後も制度の見直しが進められる見通しです。 

令和8(2026)年度税制改正では、給与所得控除の最低保障額の引き上げ(65万円→74万円)、扶養控除の所得上限額の引き上げ(58万円以下→62万円以下)、特定親族特別控除の所得下限額引き上げ(要件緩和)などにより、扶養控除、特定親族特別控除や配偶者控除の対象が拡大しています。この改正は令和8(2026)年分の年末調整から適用されます。企業としては、制度変更に伴う年末調整の影響を把握するとともに、従業員への情報提供やFAQ整備、給与システムの更新など、柔軟に対応できる体制を整えておくことが望まれます。 

 

よくある質問(FAQ) 

年末調整時や入社時に多く寄せられる疑問に回答します。 

扶養控除等申告書の提出義務はあるのか? 

はい、企業は所得税法に基づき、従業員から「扶養控除等申告書」を提出してもらい、正しく源泉徴収を行う義務があります。この書類がなければ、源泉徴収税額が高く計算されてしまう可能性があるため、適切な所得控除を受けるためにも必ず提出しなければなりません。 

扶養控除等申告書の提出を忘れたらどうなる? 

提出がない場合、配偶者控除、扶養控除などの各種所得控除が適用されず、源泉徴収される税額が本来より高くなる可能性があります。結果として、従業員に不必要な税負担が発生し、後日年末調整の修正申告や確定申告(修正申告の期限に間に合わない場合)、それに伴う還付の手続きが必要となるケースもあります。 

複数社で働いている場合の提出方法 

扶養控除等申告書は、主たる給与を受け取っている1社のみに提出することができます。副業やダブルワークをしている従業員がいる場合は、どちらが主たる勤務先であるかを確認させたうえで、提出先を明確にさせることが重要です。副業先には提出してはならないことを周知し、提出漏れや重複提出を防止しましょう。 

 

まとめ:正確な年末調整で税負担を適正に 

扶養控除等申告書は、年末調整の根幹をなす重要な書類です。記載内容の誤りや記入漏れがあると、従業員の税負担に直接影響するため、企業側でも提出管理や内容確認を丁寧に行う必要があります。令和8(2026)年以降の制度改正も十分に理解した上で、正確かつ効率的な年末調整業務の実現に向けた取り組みを進めましょう。 

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安森 将
監修

安森 将

やすもり社会保険労務士事務所 代表

大学卒業後、大手鉄道会社の総合職として 25 年間、主に人事、営業戦略、新幹線予約システム開発業務に携わった後、退職。退職後は社会保険労務士、行政書士などの国家試験に合格し、2023 年に社会保険労務士として開業(現職)。企業勤務時代の経験を活かし、人事労務分野を中心とした会社経営に関する様々な相談業務、働き方改革推進支援センター(厚生労働省委託事業)の専門家、臨時労働保険指導員(東京労働局)としての業務等に従事。大手企業各社オウンドメディア等の人事労務に関する記事執筆や監修の実績も多数。
Professional AI Media編集部
執筆

Professional AI Media編集部

株式会社On Technologiesが運営する「AIによる業務変革と成長を支援する Professional AI Media」を編集しています。