人事労務向けAIエージェント「WorkOn」

今すぐ無料資料ダウンロード

訓戒処分とは?意味・対象行為・手続き・注意点を人事労務担当者向けに解説

訓戒処分とは?意味・対象行為・手続き・注意点を人事労務担当者向けに解説
この記事を読んでわかること
  • 訓戒処分の意味と、戒告・譴責・口頭注意との違い
  • 訓戒処分の対象になる行為例と、より重い処分が必要なケース
  • 無効にならないための正しい手続きと進め方
  • 人事評価・賞与・配置転換への影響

50個以上のテンプレをExcelでプレゼント 人事・労務部門ですぐに使えるChatGPTプロンプト集

無料でダウンロードする

人事労務AIを、30日間無料で。WorkOn無料トライアル

訓戒処分は、懲戒処分の中では軽い位置づけにある一方で、就業規則上の根拠、事実確認の精度、弁明の機会の付与、処分の相当性といった要件を満たさなければ、無効とされるリスクがあります。

さらに、訓戒処分は解雇、降格、減給といった他の懲戒処分とは異なり、処分を通じた直接的な経済的不利益を伴わないことが多い反面、処分により評価、賞与、配置などの処遇面に影響する可能性があるため、従業員の受け止め方によっては労務トラブルに発展しかねません。

本記事では、訓戒処分の基本的な意味と対象となる行為の考え方、混同しやすい用語との違い、無効になりやすい典型パターンなどについて解説します。

人事労務向けAIエージェント「WorkOn」の製品資料

WorkOn資料ダウンロードはこちら≫

訓戒処分とは

訓戒処分は、従業員の問題行為に対して、将来の再発防止を目的として注意・指導を行う懲戒処分の1つです。企業によっては「戒告」「訓告」といった処分名称とされている場合もあります。

懲戒処分のなかでは最も軽い位置づけにあたり、他の懲戒処分である「減給」や「出勤停止」のように直接的な経済的不利益を伴わないのが一般的です。訓戒処分の主な目的は、制裁そのものではなく、対象者の行為の問題点を明確に示し、行動の改善を促す点にあります。

そのため、多くの場合は口頭での注意指導や、文書による通知にとどまり、始末書等の提出を伴わないのが一般的です。

なお、訓戒処分を行うためには、就業規則に「懲戒処分の種類」として訓戒が定められていることが前提です。また、単なる上司の注意や指導とは異なり、「懲戒処分」として扱う以上、懲戒処分とすべき具体的事実の存在、その事実に基づいた処分内容の社会通念上の相当性、処分に向けた手続きの適正性が求められます。

訓戒処分の対象になりやすい行為例(遅刻・職場離脱・命令違反など)

訓戒処分は、業務秩序に一定の影響を与えるものの、比較的軽微と判断される行為があった場合に行われる処分です。代表的な行為としては、遅刻・早退・職場離脱・業務命令違反などが挙げられます。

遅刻や早退を繰り返す行為は、勤務態度として問題があるものの、業務への影響が限定的な場合には訓戒処分が適当と判断される可能性があります。

また、業務時間中に無断で席を離れる、私的な外出を行うなども訓戒処分の対象とされることが多い行為です。

業務命令違反についても、業務命令の重要性が高くなく、違反内容の悪質性や結果の重大性が低い場合には、訓戒による注意指導で足りると判断されることが少なくありません。

このほか、業務中の居眠り、私的なスマートフォン操作、社内ルールの軽微な違反なども、訓戒処分の範囲に収まることが多い行為です。

重要なことは、行為の内容そのものだけでなく、その頻度、行為者本人の改善の見込みや、反省の状況、業務への影響度などを総合的に考慮することです。

訓戒処分では足りない可能性がある行為例(情報漏えい・ハラスメント等)

行為の性質や影響の重大性が高い場合には、訓戒処分では不十分と判断されることがあります。

たとえば、顧客情報や社内機密情報の漏えいは、故意でなくても企業に重大な損害を与えるおそれがあり、訓戒にとどめることが相当でないケースが少なくありません。

注意指導だけでは再発防止や組織秩序の維持が困難と判断され、譴責や減給、出勤停止など、より重い懲戒処分が検討されることがあります。

また、パワーハラスメントやセクシュアルハラスメントといったハラスメント行為についても、被害者や職場環境への悪影響が大きいため、その事実関係に対して訓戒処分では処分の相当性を欠く可能性があります。

このほか、金銭トラブル、虚偽報告、重大な服務規律違反なども、行為内容によっては訓戒処分では足りないと判断されやすい問題です。

訓戒処分を選択する際には、「軽いから訓戒」と安易に決めるのではなく、行為の重大性と処分のバランスを踏まえ、慎重に検討する必要があります。

訓戒処分と混同しやすい用語・処分の違い

訓戒処分は懲戒処分の中でも最も軽い位置づけであるため、日常的な注意指導や、似た名称の処分と混同されやすい傾向があります。

しかし、これらは「懲戒処分に該当するかどうか」「法的な位置づけ」「人事上の影響」という点で異なります。

用語の使い方を誤ると、従業員との間の認識のずれの発生、パワハラ認定、処分の無効を主張する訴訟提起等のリスクにつながるため、違いを正しく理解しておくことが重要です。

訓戒と訓告・戒告の違い

訓戒、訓告、戒告はいずれも「注意・戒め」を意味する言葉であり、実務上は同程度の軽い懲戒処分として扱われることが一般的です。これらの相違は就業規則上の規定に基づきます。

一般的に、訓戒は「将来を戒めるために教え諭す」という意味合いが強く、再発防止を目的とした注意指導型の懲戒処分です。

訓告や戒告も、内容としては訓戒と大きな差がないケースが多く、企業によっては訓戒処分と同じ処分として規定されていることもあります。

重要なことは、名称の違いではなく、就業規則においてどのような処分として規定されているかということです。

譴責処分(始末書を求める懲戒処分)との違い

「譴責処分」は、訓戒処分よりも一段階重い懲戒処分として位置づけられるのが一般的です。譴責処分の大きな特徴は、行為者への注意指導に加えて、始末書や反省文の提出を求める点にあります。

訓戒処分は口頭または文書による注意にとどまるケースが多いのに対し、譴責処分は「本人に責任を自覚させる」「再発防止の誓約を記録として残す」という性質が強いものです。

そのため、訓戒処分と比較して人事評価や昇格・昇給の判断材料として影響する可能性も高まります。

軽微な規律違反であれば訓戒処分、反省と再発防止を文書で明確に求める必要がある場合には譴責処分といった形で、行為の内容や悪質性、再発リスクに応じて使い分けることが重要です。

注意指導(口頭注意)との違い

注意指導や口頭注意は、原則として懲戒処分には該当しません。業務上の改善を目的とした日常的なマネジメント行為であり、懲戒権の行使とは区別されます。

たとえば、業務上のミスへの注意、手順の誤りに対する指導、業務態度等への軽い注意などは、通常は注意指導の範囲にとどまります。

この段階では、懲戒処分として扱わないのが一般的です。

一方で、訓戒処分は「懲戒処分」として位置づけられるため、事実関係を正しく確認し、それに対する適切な処分を正しい手続きにより進めることが必要です。また、将来更なる懲戒処分を判断する際の前提として扱われる可能性もあります。

単なる注意のつもりで「訓戒する」と表現してしまうと、従業員が懲戒処分と受け取るおそれがあるため、言葉の使い方には注意が必要です。

懲戒処分が無効になりやすい典型パターン

懲戒処分は、企業が一方的に従業員に不利益を与える行為であるため、法律上も厳格な要件が求められます。労働契約法では、懲戒処分について「客観的合理性」と「社会通念上の相当性」がなければ無効とされています。

実務上、懲戒処分が無効と判断されやすいケースは次の3つです。

根拠不足|就業規則における懲戒事由が明確でない

企業が懲戒処分を行うためには、あらかじめ就業規則において下記が定められ、従業員に周知されている必要があります。

  • 懲戒処分の種類
  • 懲戒事由(どのような行為が処分対象になるのか)

就業規則に規定がないことはもちろん、規定が具体的でない場合に、それを理由に懲戒処分を行っても無効と判断されやすくなります。

手続き不備|事実確認・弁明の機会が不十分

懲戒処分は、内容だけでなく手続きの適正さも厳しく問われます。

無効とされやすい典型例として、下記のようなケースが挙げられます。

  • 十分な事実確認を行っていない
  • 本人へのヒアリングや弁明の機会を与えていない
  • 一方的な判断で処分を決定している

特に、本人の言い分を聞かずに処分を下した場合、事実関係を正しく確認して処分を行っていないと評価され、客観的合理性や社会通念上の相当性が否定されることにより、処分が無効となる可能性があります。

また、懲戒委員会を設けている企業であるにもかかわらず、規定された手続きを経ずに処分を行った場合も、手続き違反として問題視されやすくなります。

懲戒処分を行う際には、下記のプロセスを踏んだうえで、慎重に判断することが不可欠です。

  • 事実関係の客観的な確認
  • 証拠の整理
  • 本人への説明と弁明の機会の付与

不相当|行為の程度に対して処分が重すぎる

懲戒処分は、行為の内容・悪質性・影響の大きさ等に見合った処分であるかが重要です。

懲戒処分が就業規則に定められていても、下記のような事実関係に対して重い懲戒処分を科すと「社会通念上相当ではない」と判断されるおそれがあります。

  • 初回の軽微な違反
  • 業務への影響が限定的
  • 本人の反省や改善が認められる
人事労務AIを、30日間無料で。WorkOn無料トライアル

WorkOnをまるごと30日間無料トライアル ≫

訓戒処分の進め方

訓戒処分は「注意すれば足りる事案」に対する懲戒処分です。そのため、拙速・感情的・形式的に進めるほどトラブルになりやすく、逆に「事実関係の確認・手続き・処分対象者への説明」を丁寧に積み上げることで正しく運用できます。

訓戒処分の進め方について以下で詳しく見ていきましょう。

1. 事実確認

最初に行うべきは事実関係の確認です。ヒアリングは、まず第三者(上司・同僚・その他の関係者)から客観的な情報を集め、次に本人からヒアリングを行います。

いきなり本人に問いただすと、事実関係を正確に把握できず、感情的対立が生じやすくなります。「いつ・どこで・何が起きたか」「行為と業務上のルールとの関係」を中心に整理しましょう。

下記の項目についての記録を残し、第三者が見ても経緯を確認できる形にします。

  • 日時
  • 発言内容(要約ではなく趣旨が分かる形)
  • 誰が同席したか

この記録は、懲戒処分の量定(処分の重さ)の判断や、後に懲戒処分そのものを争う訴訟が提起された際の重要な資料になります。

2. 証拠整理(勤怠ログ・メール/チャット・防犯カメラ・端末ログの注意点)

訓戒処分であっても、客観的証拠による裏付けは不可欠です。

代表的な証拠には下記があります。

  • 勤怠システムの打刻ログ
  • 業務メール、社内チャットの履歴
  • 業務システムの操作履歴
  • 社用端末のログ
  • 防犯カメラの画像

注意すべき点は、「取得可能だからみだりに利用できる」わけではないことです。就業規則や社内規程で、ログや画像取得等の目的や範囲が明示されていない場合、それらの証拠の使用自体が問題視されるおそれがあります。

3. 弁明の機会(いつ・どの範囲で・誰が同席するか)

懲戒処分において、弁明の機会の付与は極めて重要です。これが欠けると、訓戒処分であっても無効と判断されるリスクが高まります。

弁明の機会は、処分対象者本人への事実確認のための事情聴取等とは別の形で、かつ処分の正式決定前に実施するのが基本です。事情聴取と同時に行ったり、処分通知の際に行ったりすることは、弁明の機会を付与されなかったと主張される可能性があります。

弁明の機会を付与することは、就業規則に懲戒処分の手続きとして定められている場合はもちろん、そうでない場合でも弁明の機会を与えることが処分の相当性の証拠にもなり得るため、実施すべきです。

弁明の機会では、以下の内容を聴取します。

  • 事実関係に対する認識
  • 本人なりの事情説明
  • 反省や改善意思

4. 判断(量定)|訓戒処分が妥当かを決めるチェックリスト

事実確認と処分対象者の弁明の内容を踏まえたうえで、処分の重さを判断します。訓戒処分が妥当かどうかを、次の観点で整理しましょう。

  • 就業規則上、懲戒事由に該当するか
  • 行為の悪質性、業務への影響はどの程度か
  • 初回か、2回目以降か
  • 過去に指導・注意の履歴はあるか
  • 本人に反省・改善意思が認められるか

これらを踏まえ、「訓戒処分で足りるのか」「指導・注意で足りるのか」を慎重に検討します。

5. 通知と面談|伝え方・言葉選び・感情的叱責を避けるポイント

訓戒処分は、通知の仕方によって印象が大きく変わります。

処分通知では、下記を明確に伝えます。就業規則への定めがない場合でも文書(懲戒処分通知書)による通知がよいでしょう。

  • 従業員名、社名、代表者名
  • 処分日
  • 懲戒処分の種類、内容
  • 就業規則の根拠条文
  • 問題となった行為など処分理由
  • 今後求める行動

通知の際には、叱責や感情的表現を避け、「事実 → 評価 → 期待する改善」の順で淡々と説明します。人格否定を行ったり過去の問題を持ち出したりすることは、パワハラ・不当な懲戒処分と評価されるリスクがあります。

訓戒処分は「罰すること」ではなく、「将来の改善」を目的とした処分である点を意識することが重要です。

6. フォロー(再発防止)|指導計画・改善期限・再評価の設計

訓戒処分は、通知して終わりではありません。確実に再発を防止できるようにすることで初めて意味を持ちます。具体的には、以下の内容をあらかじめ決めておきます。

  • 改善すべき行動内容
  • 改善期限
  • フォロー面談の時期

たとえば、「3か月後に状況確認を行う」「改善が見られない場合は次段階の措置を検討する」といった形です。

訓戒処分が与える影響|評価・昇給・賞与・配置転換との関係

訓戒処分は、懲戒処分の中では軽い位置づけにありますが、人事評価や処遇にまったく影響しないとは限りません。制度設計や運用方法によっては、従業員にとって間接的・中長期的な影響が生じます。

重要なことは、「訓戒処分そのものによる不利益」と「人事評価や処遇の結果として生じる影響」を切り分けて理解することです。訓戒処分が与える影響について詳しく見ていきましょう。

人事評価への影響

訓戒処分が下された事実は、多くの企業で人事評価の材料の1つとして扱われます。ただし、原則として「訓戒処分を受けたから自動的に評価を下げる」という運用は適切とはいえません。

次のような内容をもとに評価を整理するとよいでしょう。

  • 訓戒処分の原因となった行為が、評価項目(規律遵守・業務姿勢など)に影響するか
  • 行為の再発防止や改善状況が、評価期間中にどのように推移したか
  • 一時的な問題か、継続的な行動傾向か

つまり、処分そのものではなく、処分対象となった行為と評価基準との関係や、処分後の行動が評価対象になると言えます。

人事評価上、「訓戒処分=即マイナス評価」と短絡的に結びつけると、懲戒権の濫用や不当な評価と判断されるリスクがありますので注意が必要です。

昇給への影響

訓戒処分が、昇給に直接影響するかどうかは、昇給ルールの定め方によります。

また、定期昇給が一律昇給であったり年功的要素が強かったりする場合には、訓戒処分のみを理由に昇給停止とするのは慎重であるべきです。

賞与への影響

賞与については、訓戒処分の影響が最も問題になりやすい分野です。

賞与は、業績連動や評価連動、貢献度反映といった性質を持つため、訓戒処分の影響が表れやすくなります。

ただし、次の点に注意が必要です。

  • 就業規則や賞与規程に、減額・不支給の基準が明示されているか
  • 訓戒処分と賞与減額の関係が、事前に説明可能か
  • 処分の軽さに対して、賞与減額の影響が過大でないか

訓戒処分は、本来「注意指導」の処分であるため、大幅な賞与減額や不支給を行うと、処分の相当性が争われるリスクがあります。

配置転換・職務変更への影響

訓戒処分をきっかけに、配置転換や職務変更が行われるケースもあります。この場合のポイントは、懲戒処分としての配置転換なのか、業務上の必要性による配置転換なのかを明確に区別することです。

  • 業務命令違反が続いており、指導体制を変える必要がある
  • 対人トラブルがあり、職場環境維持の観点で配置を見直す
  • 本人の適性や再発防止を考慮して配置を見直す

このような業務上の必要性に基づく配置転換であれば認められやすいでしょう。

一方で、「訓戒処分を受けたから処分対象者にとって不利な部署に異動させる」といった懲罰的な配置転換は、訓戒処分に不相当な重い懲戒処分と評価されるおそれがあり、不適切と言えるでしょう。

まとめ

訓戒処分は、従業員の問題行為に対して将来の再発防止を目的に注意・指導を行う懲戒処分であり、軽微な規律違反に適用される一方で、懲戒処分として扱う以上は就業規則上の根拠と客観的合理性、社会通念上の相当性が求められます。

事実確認、弁明の機会の付与などの適正な手続き、処分対象者への説明と処分後のフォローを丁寧に積み重ね、適切に懲戒処分を行うことで、企業側のリスクを抑えつつ、従業員に処分の趣旨を正しく理解させ、再発防止につなげることが可能になります。

人事労務向けAIエージェント「WorkOn」
安森 将
監修

安森 将

やすもり社会保険労務士事務所 代表

大学卒業後、大手鉄道会社の総合職として 25 年間、主に人事、営業戦略、新幹線予約システム開発業務に携わった後、退職。退職後は社会保険労務士、行政書士などの国家試験に合格し、2023 年に社会保険労務士として開業(現職)。企業勤務時代の経験を活かし、人事労務分野を中心とした会社経営に関する様々な相談業務、働き方改革推進支援センター(厚生労働省委託事業)の専門家、臨時労働保険指導員(東京労働局)としての業務等に従事。大手企業各社オウンドメディア等の人事労務に関する記事執筆や監修の実績も多数。
Professional AI Media編集部
執筆

Professional AI Media編集部

株式会社On Technologiesが運営する「AIによる業務変革と成長を支援する Professional AI Media」を編集しています。