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定年退職はいつ?関連法や退職年齢引き上げ、再雇用の手続きもわかりやすく解説

定年退職はいつ?関連法や退職年齢引き上げ、再雇用の手続きもわかりやすく解説
この記事を読んでわかること
  • 定年退職の基本と定年制の導入状況

  • 企業に義務付けられている雇用確保措置

  • 定年退職年齢を引き上げる方法とメリット・デメリット

  • 定年退職・再雇用に必要な手続き

  • 制度改定前に確認すべきポイント

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人生100年時代と言われる現代、定年退職後も働き続ける人が増えてきました。企業には65歳までの雇用確保措置義務や70歳までの就業確保措置の努力義務が課され、定年制度のあり方も大きく変化しています。

希望する高齢者の雇用を継続することは、企業にとっては人手不足の解消にもつながる取組です。関連法や必要な手続きを把握し、適切な雇用継続を行いましょう。

この記事では、定年退職の基本から法改正の内容、年齢引き上げや再雇用の手続き、企業が知っておくべき注意点をわかりやすく解説します。

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9割以上の企業が定年制を導入

そもそも定年退職とは、企業が就業規則で定めた一定の年齢に達したとき、労働契約が終了することです。厚生労働省「令和4年就労条件総合調査」によれば、9割以上の企業が定年制を導入しています。

定年制は法律で義務付けられているわけではありませんが、多くの企業で導入されている制度なのです。

出典:厚生労働省「令和4年就労条件総合調査の概況」

一方現行の「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」では「高年齢者雇用確保措置」として、65歳までの安定した雇用確保のために、以下のいずれかを講じることが義務とされています。

  • 定年の引上げ

  • 継続雇用制度(再雇用制度、勤務延長制度)の導入

  • 定年制の廃止

また令和3年4月1日からは、努力義務として、事業主は以下のいずれかの措置を講じるよう努めることとされています。

  • 70歳までの定年の引上げ 

  • 定年制の廃止 

  • 70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入 

  • 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入 

  • 70歳まで継続的に、社会貢献事業等の事業に従事できる制度の導入 

出典:厚生労働省「高年齢者雇用確保措置」

なお2025年4月1日以降は、65歳までの継続雇用制度の対象は希望者全員となっています。

定年退職のタイミングはいつ?

定年退職の時期は、企業の就業規則で定めます。一般的な企業での定年退職のタイミングをまとめました。

定年退職の年齢

令和7年時点での厚生労働省の調査では、65歳以上定年企業(定年制の廃止企業を含む)は34.9%です。現在では関連法の改正により、65歳未満の定年を定める場合には65歳までの雇用確保措置が義務化されています。今後は定年退職の年齢を70歳以上としたり、定年退職制度を廃止したりする企業が増加するでしょう。

出典:厚生労働省「令和7年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果」

また定年退職日の設定方法には、主に以下の方法があります。

  • 定年の年齢に達した誕生日

  • 定年の年齢に達した月の月末

  • 誕生月の給与の締め日

  • 誕生年度(年)の末日

満年齢到達日とする方法では、誕生日当日や誕生月の末日などを退職日とするケースが一般的です。一方で満年齢到達後の一定時期とする方法では、該当月の末日や年度末を期日とすることが多く見られます。

後者の方法は退職日を統一しやすく、人事管理上便利なので、多くの企業で採用されています。

定年退職での労働力の喪失を防ぐには

高齢化社会において、経験豊富な高齢従業員の労働力の活用は、企業にとっても大きな支えになります。ここでは定年退職による労働力喪失を防ぐ方法を見ていきましょう。

定年退職年齢を引き上げる

前述のとおり現行法では、定年を65歳未満に定める場合は65歳までの雇用確保措置(定年の引上げ・継続雇用制度の導入・定年制の廃止のいずれか)を講じることが義務とされています。さらに70歳までは、就業確保措置を講ずることが努力義務として求められています。働く意欲のある高齢者がこれからも働き続けられるよう、多くの企業で、定年退職の年齢は引き上げられている傾向です。

定年年齢を引き上げると、従業員は長く働き続けられるようになります。従業員が安心して働けるようになれば、労働意欲が安定するだけでなく、技術継承や働き方の改善にもつながります。

定年年齢を引き上げる場合は、就業規則を改定し、従業員に周知する必要があります。また賃金体系や評価制度も、長期雇用に対応した形に見直しが必要です。

定年退職後も雇用を継続する

再雇用制度や勤務延長制度などの継続雇用制度を導入し、定年後も希望者を雇用し続ける方法です。

再雇用制度では定年で一旦退職した後、新たな雇用契約を結んで再び雇用します。多くの場合で有期雇用契約となり、賃金や労働条件が見直されます。

勤務延長制度では定年後も従業員としての地位を継続し、雇用契約を延長します。再雇用制度と比べて、雇用の連続性が保たれるのが特徴です。

なお2025年4月以降は、従来のように対象者を限定する基準は使えないため、希望者全員を対象とした制度設計に見直す必要があります。

定年制を廃止する

定年制そのものを廃止し、年齢にかかわらず働き続けられるようにする方法もあります。

定年制廃止は高齢者の雇用機会を最大限に確保できます。従業員にとっては就労が安定し、モチベーションの維持やスキルアップがしやすくなるのがメリットです。

ただし若手の昇進機会が減少したり、人件費が増大したりする懸念から、導入企業はまだ少数です。専門性の高い職種や、経験が重視される業種では、定年制廃止が効果的な場合もあります。

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定年退職年齢引き上げのメリット・デメリット

定年退職年齢の引き上げはメリットの多い取組ですが、注意点もあります。ここでは定年退職年齢を引き上げる場合のメリットとデメリットを、改めて見ていきましょう。

メリット

定年退職年齢を引き上げる主なメリットは、以下のとおりです。

  • 従業員の収入・生活が安定する

  • 人材不足の解消につながる

  • 技術や経験を活用できる

定年退職年齢が引き上げられれば、従業員の生活も安定します。また人材不足の解消や技術・経験の継承につながるので、企業側にとってもメリットがあります。

なお定年退職年齢の引き上げや雇用継続には、65歳超雇用推進助成金や高年齢雇用継続給付なども活用できます。支援制度を上手に活用し、負担の少ない改革を目指しましょう。

出典:厚生労働省「65歳超雇用推進助成金」

デメリット

定年退職年齢を引き上げる主なデメリットは、以下のとおりです。

  • 人件費がかかる

  • 社内風土や人材の入れ替わりが少なくなる

定年退職で人材が入れ替わることがなくなると、人件費の総額が増え、結果として採用余地の縮小につながります。

若手の採用や昇進機会が減ることで、社内風土や価値観の革新がされにくくなることもあるでしょう。若手のモチベーションを維持する工夫が必要になります。

定年退職と再雇用に関する企業の手続き

定年退職や再雇用に際しては、さまざまな手続きが必要です。ここでは定年退職と再雇用に関する主な手続きをまとめました。

①定年退職

従業員が定年退職する際は、以下の手続きを行います。

  • 健康保険・厚生年金保険
    健康保険・厚生年金保険は退職日の翌日に被保険者資格を喪失します。健康保険・厚生年金保険の資格喪失手続きにあわせ、交付されている資格確認書等の返納要否も確認しましょう。

  • 雇用保険
    離職証明書作成に必要な賃金台帳・出勤簿等を準備します。また資格喪失届は期限内に提出し、離職証明書は離職票の交付要否等に応じて提出の要否を確認しましょう。なお雇用保険被保険者資格喪失届は、e-GOVから電子申請が可能です。その後「雇用保険被保険者資格喪失確認通知書」や「雇用保険被保険者離職票」を退職者へ渡します。なお、上記の離職手続きを電子申請で行った場合には、退職者がマイナポータルの利用手続きを行う等の要件を満たした場合には、離職票をマイナポータルで受け取れます。

  • 住民税
    通常の退職と同様の手続きを行います。「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」を、退職日の翌月10日までに退職者の住所地の市区町村へ提出してください。

そのほか、必要に応じて手続きを行います。

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②定年後の再雇用

再雇用では雇用形態が変わるので、企業と従業員は新たな契約を結びます。健康保険や厚生年金には再加入してください。ただし定年後に継続して再雇用する場合は、健康保険・厚生年金で資格喪失届と資格取得届を同日付で行う取扱いが可能です。

また年金を受け取りながら働いている場合には、在職老齢年金の対象となることがあります。これは年金と給与の合計が基準額を上回ると、年金の一部または全額が支給停止となる制度です。なお2026年4月から、支給停止基準額が51万円から65万円へ改正されました。

出典:日本年金機構「在職老齢年金制度」

また60歳時点の賃金より給与が75%未満に減額された場合は、高年齢雇用継続給付の支給が受けられます。

2025年4月1日以降に60歳に達する人などは、支給率の上限が15%から10%へ変更されています。

③再雇用満了での退職

再雇用期間満了で退職する場合には、一般的な退職者と同様の手続きが必要です。健康保険や年金、雇用保険などの手続きを行いましょう。

制度改定前に確認すべき3点

定年退職年齢を引き上げたり、再雇用したりする際には、以下の点に注意してください。

  1. 法対応

  2. 賃金設計

  3. 人員構成の注意点

定年退職に関する内容は就業規則の改定が必要です。労働条件の重要な変更にあたるので、労働者の過半数代表の意見を聴取した上で、労働基準監督署に届け出てください。あわせて、全従業員に変更点を周知します。

また賃金設計の見直しも検討しましょう。職務や成果に応じた賃金体系への移行や、65歳以降の賃金カーブの緩やかな設定などを検討してもよいでしょう。

ただし賃金改定を不透明な形で進めると、従業員の不信を招きます。勤務内容や経験、スキルなどを考慮し、一定の基準に則って、賃金の見直しを行ってください。

さらに若手従業員への配慮も重要です。定年退職者が減ると、若手の採用や昇進機会損失につながる恐れがあります。定年の廃止や年齢引き上げが若手のキャリア形成を阻害しないよう、昇進制度の見直しや、能力に応じた抜擢人事の導入などを行います。

高齢者・若手の双方の意見を聞きながら、定年年齢等を段階的に引き上げていくのが望ましい進め方です。

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まとめ

定年退職は企業が定めた一定年齢に達したことを理由に、雇用を終了する制度です。

高年齢者雇用安定法の改正等によって、企業は65歳までの雇用確保措置が義務となりました。

さらに70歳までの就業機会確保は努力義務として設定されています。そのため、企業には定年年齢の引き上げや継続雇用制度の導入、定年制の廃止などの選択肢があります。今後ますます、高齢者が活躍できる場は広がりそうです。

定年退職や再雇用に際しては、健康保険や厚生年金保険、雇用保険、税金などの手続きが必要です。高年齢雇用継続給付や在職老齢年金など、高齢者特有の制度についても理解しておく必要があります。

適切な制度設計と運用を行って、高齢の従業員の活躍と企業の持続的成長の両立を目指しましょう。

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安森 将
監修

安森 将

やすもり社会保険労務士事務所 代表

大学卒業後、大手鉄道会社の総合職として 25 年間、主に人事、営業戦略、新幹線予約システム開発業務に携わった後、退職。退職後は社会保険労務士、行政書士などの国家試験に合格し、2023 年に社会保険労務士として開業(現職)。企業勤務時代の経験を活かし、人事労務分野を中心とした会社経営に関する様々な相談業務、働き方改革推進支援センター(厚生労働省委託事業)の専門家、臨時労働保険指導員(東京労働局)としての業務等に従事。大手企業各社オウンドメディア等の人事労務に関する記事執筆や監修の実績も多数。
Professional AI Media編集部
執筆

Professional AI Media編集部

株式会社On Technologiesが運営する「AIによる業務変革と成長を支援する Professional AI Media」を編集しています。