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有給休暇とは? 付与要件や日数の計算、適用条件、繰越・保持日数、NGパターンまでくわしく解説

有給休暇とは? 付与要件や日数の計算、適用条件、繰越・保持日数、NGパターンまでくわしく解説
この記事を読んでわかること
  • 有給休暇が付与される条件と日数
  • パート・アルバイトに付与される有給休暇のルール
  • 有給休暇の繰越・時効・保有日数の考え方
  • 年5日の取得義務や年次有給休暇管理簿の注意点
  • 有給休暇を適切に管理するためのポイント

【勤怠管理の基本】休憩・休日・有給休暇のルール総まとめ

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有給休暇は、勤務日数や勤続年数によって付与日数が変わる仕組みです。しかし実際には、「パートやアルバイトは何日付与される?」「半休・時間休はどう扱う?」「繰越は何年まで可能?」など、制度と運用で覚えづらいポイントが多くあります。

本記事では、有給休暇の付与ルールを労働基準法に基づいて解説し、企業が押さえておくべきポイントをまとめます。

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目次

年次有給休暇とは 

年次有給休暇は、一定の要件を満たした労働者が、賃金の支払いを受けながら休暇を取得できる制度を指します。年次有給休暇のことを単に「有給休暇」と呼ぶのが一般的です。(以下「有給休暇」と呼びます。)有給休暇の付与は、労働基準法第39条に基づき、事業主(使用者)に課された法的な義務です。正社員だけでなく、アルバイトやパート、契約社員など、雇用形態を問わず全ての労働者が対象となります。 

労働基準法第39条(第1項)の条文は以下の通りです。 

使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。 

出典:労働基準法 第三十九条 

有給休暇の付与条件 

有給休暇を付与するには、法律で定められた明確な条件があります。ここでは、対象者・付与時期・日数について詳しく解説していきます。 

有給休暇付与の対象者 

有給休暇は、正社員だけでなくアルバイトやパート、契約社員など全ての労働者が対象となる制度です。雇用形態や呼称に関わらず、労働基準法上の「労働者」に該当すれば付与義務が発生します。「労働時間が短時間だから対象外」「アルバイトには付与しない」といった扱いは法律違反となりますので注意しましょう。週1日勤務のアルバイトであっても、後述する条件を満たせば有給休暇が付与されます。 

有給休暇の付与要件と「基準日」  

有給休暇の付与要件は以下の通りです。 

  • 6ヶ月以上継続して雇用されている 
  • 全労働日の8割以上出勤している 

有給休暇が初めて付与されるのは、雇入れの日から6ヶ月間継続勤務し、かつその期間の全労働日の8割以上出勤した時点です。例えば4月1日に入社した従業員であれば、原則として10月1日に初めて有給休暇が付与されることになります。初回付与以降は、1年ごとに付与日が到来し、その都度出勤率8割以上という要件を満たしていれば、勤続年数に応じた日数が加算される仕組みです。この付与タイミングを「基準日」と呼びます。 

なお、実務上は、従業員ごとに基準日を管理する方法のほか、基準日を統一して付与する方法(いわゆる斉一的付与)や、法定の基準日よりも前倒しで年次有給休暇を付与する運用を行っている企業もあります。いずれの場合であっても、法令で定められた要件を満たした時点で、所定の日数を付与することが求められます。 

有給休暇の日数 

有給休暇の付与日数は、勤続年数と所定労働日数によって異なります。具体的な付与日数は、以下の表の通りです。 

厚生労働省|リーフレットシリーズ労基法39条

出典:厚生労働省|リーフレットシリーズ労基法39条

フルタイム労働者 

フルタイム労働者の場合、継続勤務年数に応じて以下の日数が付与されます。入社後6ヶ月で10日、1年6ヶ月で11日、2年6ヶ月で12日、3年6ヶ月で14日、4年6ヶ月で16日、5年6ヶ月で18日、6年6ヶ月以上で20日となっています。 

入社後6年6ヶ月以降は、毎年20日の有給休暇が付与されます。勤続年数が長くなるほど付与日数が増えることになっており、長期の勤続を促進する意図も含まれています。 

パート・アルバイト労働者 

週の所定労働日数が4日以下(または年間の所定労働日数が216日以下)、かつ週の所定労働時間が30時間未満の労働者には、比例付与制度が適用されます。これは、週の所定労働日数に応じて有給休暇を比例的に付与する仕組みです。 

例えば、入社から6ヶ月経過時点で全労働日の8割以上出勤の要件を満たした場合、週4日勤務なら7日、週3日勤務なら5日、週2日勤務なら3日、週1日勤務なら1日が付与されます。 

勤続年数が増えるごとに付与日数も段階的に増加し、週4日勤務で6年6ヶ月以上勤務すれば15日まで増える仕組みです。パートやアルバイトのように短時間の勤務であっても、継続勤務と出勤率の条件を満たせば必ず有給休暇が付与されるという点を理解しておきましょう。 

また、パート・アルバイトでも週所定労働日数が5日以上(または週所定労働時間が30時間以上)であれば、正社員と同じ条件で有給休暇が付与されます。 

有給休暇の繰越時効と保持上限 

有給休暇には2年間の時効が設定されており、付与から2年を経過すると権利が消滅します。取得しなかった有給休暇は、翌年度に限り繰り越すことが可能で、当年度に新たに付与される日数と合算して管理されます。 

一般的に「有給休暇の保有上限は最大35日」と言われることがありますが、これは以下のような計算に基づいた「実質的な上限」を指しています。 

  • 年間最大付与日数: 20日 
  • 年5日の取得義務: 20日のうち5日は必ず消化させる義務がある 
  • 翌年度への繰越可能日数: 20日 - 5日 = 15日 
  • 翌年度の最大保有数: 15日(繰越分)+ 20日(新規付与分)= 35日 

労働基準法に定める有給休暇の年5日の取得義務により、結果として従業員が保有する有給休暇は最大35日になるということです。 

ただし、法的な付与(取得)日数の上限は「最大40日」です。「35日」はあくまで法律上の取得義務により有給休暇を取得した結果の数字であり、労働基準法で「35日までしか持てない」と定められているわけではありません。

【注意】未取得分の権利は消滅しない  

企業側が何らかの理由で年5日の付与義務を果たせず、従業員が有給休暇を消化しきれなかった場合でも、残った有給休暇の権利が自動的に35日に切り捨てられるわけではありません。未取得分は時効(2年)が来るまで有効であり、翌年に繰り越されます。 「35日は付与日数の上限だから」といって、従業員の有給休暇を事業主(使用者)が勝手に消滅させることは違法となりますので注意しましょう。 

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有給休暇の注意すべきポイント 

有給休暇制度を運用する際には、法律違反にならないよう押さえておくべき重要なポイントがあります。 

有給休暇を取得した日の扱い 

有給休暇を取得した日は、通常どおり労働したものとみなされます。つまり、賃金が支払われるだけでなく、出勤率の計算においても「出勤日」として扱われます。年次有給休暇の取得を抑制するような不利益な評価や取扱いにつながらないよう、制度設計や運用には注意が必要です。有給休暇を取得させないことはもとより、有給休暇の取得を理由に評価を下げたり、不利益な取扱いをしたりすることは労働基準法違反となりますので注意が必要です。 

半休や時間休も認められる 

労働基準法では、有給休暇は原則として1日単位での付与が定められています。しかし、労働者が半日単位での取得を希望し、使用者が同意した場合には、半休として付与することも可能です。ただし、企業側に導入の法的義務はありません。あくまでも労使双方の合意に基づく柔軟な運用となります。なお、導入にあたっては就業規則に規定する必要があります。 

一方、時間単位での有給休暇取得を認める場合は、労使協定の締結が必要です。時間単位年休は年5日を上限として取得できる制度であり、育児や介護、通院など短時間の用事に対応しやすくなるメリットがあります。ただし、付与(取得)の年5日には時間単位年休は含まれませんので注意しましょう。 

有給休暇の年5日の付与(取得)義務 

2019年4月から、年10日以上の有給休暇が付与される労働者に対し、使用者(事業主)は年5日について時季を指定して取得させることが義務付けられました。この義務は正社員だけでなく、パート・アルバイトであっても年10日以上の有給休暇が付与される場合は対象となります。労働者自身が5日以上取得していれば使用者による時季指定は不要ですが、取得が進んでいない労働者には使用者(事業主)側から時季の指定が必要です。 

企業の人事労務担当者は各労働者の有給休暇取得状況を把握し、基準日から1年以内に必ず5日取得させるよう計画的に促していくことが求められます。 

有給休暇の買取りは原則不可 

有給休暇は労働者の心身の健康を守るために実際に休暇を取得させることが目的ですので、使用者(事業主)による金銭による買取りは原則として認められていません。「有給を使わずに給与で受け取りたい」という労働者の希望があったとしても、これに応じることは法律の趣旨に反します。ただし例外として、法定日数を超えて企業が独自に付与した有給休暇や、時効により消滅した有給休暇、退職時に残っている有給休暇については、任意で買い取ることが可能です。ただし、これらは企業側に買取の義務はなく、あくまで企業の制度や合意に基づく任意の対応となりますので、混同しないよう注意が必要となります。 

違法になる有給休暇付与のNGパターン 

有給休暇の付与において、以下のような運用は法律違反となりますので注意が必要です。 

・入社後6ヶ月を超えても有給休暇を付与しない 

「繁忙期だから」「試用期間が延びたから」といった企業側の事情は、付与義務の免除理由として認められません。条件を満たした時点で必ず付与する必要があります。 

・比例付与の計算を誤って日数を減らす 

パート・アルバイトに対する比例付与は、所定労働日数に応じた正確な計算が求められます。独自の判断で日数を減らすことは法律違反です。 

・管理職に付与しない 

「管理職には有給がない」という誤解は多いですが、労働基準法上の管理監督者であっても有給休暇の付与義務は変わりません。 

・法定の基準日より遅れて有給休暇を付与する 

法律では「雇入れから6ヶ月経過時点」で10日を付与する義務があります。そのため、この10日分を会社独自のルールで分割し、「6ヶ月時点で5日、1年時点で残り5日」のように基準日より先送りして付与することは認められていません。 

ただし、入社時に5日、半年後に5日といったように、法定の基準日より前倒しして分割付与することは、労働者に有利な条件となるため問題ありません。重要なのは「法律で定めた基準日の時点で、法定の日数(通常は10日)がすべて付与完了していること」です。 

有給休暇を適切に与えなかった場合の罰則 

年次有給休暇を法律に従って付与しなかった場合には、労働基準監督署から是正指導を受ける可能性があります。是正に応じない場合や違反の内容によっては、罰則の対象となることもあります。 

是正に応じない場合や悪質なケースでは、労働基準法第119条に基づき6ヶ月以下の拘禁刑(懲役)又は30万円以下の罰金が科される可能性があります。(年5日の付与義務への違反は労働基準法第120条により30万円以下の罰金)対象者1人につき罰金が科される仕組みとなっており、多数の従業員に違反があれば相応の金額になることが考えられます。 

さらに労務管理上のリスクとして、従業員との信頼関係が損なわれ、離職率の上昇や未払い賃金請求といったトラブルに発展する恐れもあるでしょう。企業のコンプライアンス体制が問われ、採用活動や取引先との関係にも悪影響を及ぼしかねません。 

出典:労働基準法第119条・第120条

 

年次有給休暇管理簿 

有給休暇を適切に管理するためには、法律で定められた管理簿の作成と保管が必要です。ここでは年次有給休暇管理簿について詳しく見ていきましょう。 

年次有給休暇管理簿とは 

年次有給休暇管理簿は、労働基準法施行規則第24条の7に基づき、使用者(事業主)が作成・保管しなければならない法定帳簿です。2019年4月の労働基準法改正により、有給休暇の年5日の時季指定による付与義務が導入されたことに伴い、年次有給休暇管理簿の作成も義務化されました。 

この管理簿は、各労働者の有給休暇の取得状況を正確に把握し、適切な労務管理を行うための重要な書類となります。書式に決まりはなく、紙でもデジタルでも構いませんが、労働基準監督署の調査があった際に速やかに提示できるよう整備しておく必要があります。管理簿は3年間の保存義務があり、有給休暇の付与期間満了後から起算して保管しなければなりません。 

年次有給休暇管理簿に記載すべき項目 

年次有給休暇管理簿には、労働基準法施行規則で定められた以下の3項目を記載する必要があります。 

  • 基準日:有給休暇を付与した日を記載します。初回付与日とその後の各付与日を明確にしておくことが重要です。 
  • 日数:基準日に付与した有給休暇の日数を記録します。フルタイム労働者とパート・アルバイト労働者では付与日数が異なるため、正確に記載しましょう。 
  • 時季:労働者が実際に有給休暇を取得した日付を記載します。半日単位や時間単位で取得した場合も、その内容を明記する必要があります。 

これらの項目を正確に記録することで、時季指定義務の履行状況を確認でき、労働基準監督署の調査にも適切に対応できる体制が整います。 

有給休暇取得率を上げるには? 

有給休暇の取得率向上は、コンプライアンス向上だけでなく企業にとって多くのメリットをもたらします。 

有給休暇取得率を上げるメリット 

有給休暇の取得率向上には、以下のようなメリットがあります。 

社員の健康維持 

適切な休息により疲労やストレスが軽減され、メンタルヘルス不調の予防にもつながります。 

従業員満足度の向上 

ワークライフバランスが実現できる職場環境は、従業員エンゲージメントを高め、結果として離職率の低下にも貢献します。 

生産性と業績の向上 

休暇を取得した社員がリフレッシュして業務に戻ることで、集中力や創造性が向上し、生産性と業績の向上につながる効果も期待できます。 

求職者へのアピールポイント 

有給休暇の取得しやすい企業であることは、求職者にとって魅力的なアピールポイントとなり、優秀な人材の獲得にも有利に働きます。 

有給休暇取得率を上げる方法 

取得率を上げるには、以下のような施策が効果的です。 

業務属人化を減らす 

特定の社員しか対応できない業務があると、その人が休みにくくなってしまいます。業務のマニュアル化や情報共有を進め、チーム内で相互にカバーできる体制を整えましょう。 

勤怠管理システム・有休管理ツール導入 

各従業員の取得状況や残日数を可視化することで、計画的な取得を促せます。 

計画年休制度の活用 

企業側があらかじめ休暇日を設定できるため、確実に取得を進められるでしょう。 

管理者教育 

上司が率先して有給休暇を取得する姿勢を見せることで、部下も取得しやすい雰囲気が生まれます。 

取得状況の見える化 

部署ごとや個人ごとの取得状況を見える化し、定期的に確認することで、取得が遅れている従業員へ早めにアプローチできます。 

まとめ 

有給休暇は、労働基準法の定めにより、入社後6ヶ月継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、雇用形態を問わず付与しなければなりません。フルタイム労働者には勤続年数に応じて10日から20日、パート・アルバイトなどフルタイムにあたらない労働者にも所定労働日数に応じた比例付与が義務付けられています。 

企業が理解すべき重要なポイントとして、有給休暇の取得日は通常の出勤として扱うこと、年10日以上付与される労働者には年5日の時季指定による付与義務があること、有給休暇の買取りは原則不可であることなどが挙げられるでしょう。 

また、有給休暇には2年の時効があること、付与義務違反や分割付与など法律に違反する行為は罰則の対象となることも押さえておく必要があります。 

有給休暇の付与を適切に行うことは、コンプライアンスの遵守にとどまらず、従業員の健康維持や生産性向上、優秀な人材の確保といった企業価値の向上にも直結する重要な労務管理と言えます。現在の自社の状況を見直して、有給休暇取得率の向上を目指しましょう。 

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安森 将
監修

安森 将

やすもり社会保険労務士事務所 代表

大学卒業後、大手鉄道会社の総合職として 25 年間、主に人事、営業戦略、新幹線予約システム開発業務に携わった後、退職。退職後は社会保険労務士、行政書士などの国家試験に合格し、2023 年に社会保険労務士として開業(現職)。企業勤務時代の経験を活かし、人事労務分野を中心とした会社経営に関する様々な相談業務、働き方改革推進支援センター(厚生労働省委託事業)の専門家、臨時労働保険指導員(東京労働局)としての業務等に従事。大手企業各社オウンドメディア等の人事労務に関する記事執筆や監修の実績も多数。
Professional AI Media編集部
執筆

Professional AI Media編集部

株式会社On Technologiesが運営する「AIによる業務変革と成長を支援する Professional AI Media」を編集しています。