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社会保険の加入条件とは?従業員側、事業所側の視点でわかりやすく解説

社会保険の加入条件とは?従業員側、事業所側の視点でわかりやすく解説
この記事を読んでわかること
  • 社会保険の加入条件(従業員・企業それぞれの要件)
  • パート・アルバイトの社会保険加入条件(2026年最新)
  • 社会保険に未加入の従業員がいた場合のリスク
  • 社会保険加入のメリット・デメリット
  • 従業員・企業それぞれの加入手続きの進め方

シフト制・パート・アルバイトを雇うときに知っておくべき労務の基本

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多くの企業は、従業員を社会保険に加入させる必要があります。法改正などにより、社会保険の加入条件は少しずつ変更されているため、最新の条件が適用できているか、確認しておくべきでしょう。

この記事では、2026年最新の社会保険の加入条件について、詳しく解説します。

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従業員と企業とで社会保険の加入条件は異なる

「社会保険」とは、国民が病気、ケガ、出産、死亡、老齢、障害、失業などに遭遇した際に様々な給付を行い、生活を安定させるための公的な保険制度です。医療保険、介護保険、年金制度の3種類があり、会社員など被用者が加入するもの、それ以外の国民が加入するものの全てを指します。

これらのうち、会社員などが加入する健康保険、介護保険と厚生年金保険を社会保険と呼ぶのが一般的です。

社会保険への加入は、従業員にとっては大きな安心につながる権利であり、企業にとっては法律によって定められた重要な義務となります。

従業員の意思だけで社会保険に加入できるわけではありません。「従業員側」と「企業側」という、異なる二つの要件から決定されます。

一般的に「社会保険の加入条件」として解説される内容は、従業員側の要件を指すケースが大半ですが、加入条件を調べる場合は、従業員側と企業側の両方の要件をチェックしましょう。

社会保険の適用条件は拡大へ

社会保険の適用条件は適宜改定されることも知っておくべきでしょう。例えば2024年10月より、パート・アルバイトなどの短時間労働者の社会保険への加入が必要な企業が拡大しています。

厚生労働省のガイドブックによると、厚生年金保険の被保険者数が51人以上の企業(特定適用事業所)は、パート・アルバイトなどの短時間労働者への社会保険適用が義務化されました。2025年に成立した年金制度改正法により、厚生年金保険の被保険者数の要件は今後も縮小し、10年後の2035年には撤廃され、パート・アルバイトなどの短時間労働者を社会保険に加入させなければならない企業は今後も拡大していきます。

なお、パート・アルバイトなどの短時間労働者の定義については後ほど解説するので、そちらを参考にしてください。

いずれにせよ、常に最新の適用条件に目を配り、社会保険加入手続きの漏れがないよう適切に管理・対応することが大切です。

出典:厚生労働省「社会保険適用拡大ガイドブック」p.2

社会保険に未加入の従業員がいる場合はどうなる?

社会保険の適用事業所でありながら、加入義務がある従業員を未加入のまま雇用し続けることは、健康保険法および厚生年金保険法違反とみなされます。

未加入が発覚した場合、まず実施されるのが過去に遡った保険料の一括徴収です。加入義務発生時点から最長で過去2年間までさかのぼり、本来事業主(企業)と従業員が負担すべきであった保険料の合計額を、事業主が納付義務者としてまとめて納付しなければなりません(※従業員負担分は後から本人へ請求できるケースもあります)

また加入義務の履行を怠り、行政指導や是正勧告に従わないなど、悪質な事例と判断された場合には、事業主に6ヶ月以下の懲役、または50万円以下の罰金という刑事罰を科される可能性もあります。

出典:e-Gov「健康保険法第208条」

法令遵守の観点からも、社会的な信用を失墜させる重大な問題となるため、適用対象者を正確に把握し、速やかに加入手続きを行うことが企業に求められる義務です。

社会保険の加入条件(従業員)

社会保険の加入条件は、従業員の働き方や雇用形態によって、明確に分けられます。ここではフルタイムの従業員の加入条件と、パート・アルバイトの加入条件を確認しておきましょう。

フルタイム・常勤の従業員の加入条件

正社員や常勤の従業員の加入条件は、比較的シンプルです。強制適用事業所で働く場合、原則として、70歳未満の従業員全員が社会保険の加入対象となります。

ここでいう「常勤」とは、その事業所で働く他の常勤従業員と同種の業務に従事する通常の従業員の週所定労働時間・月所定労働日数のおおむね4分の3以上を目安に判断されます。

つまり、法人格を持つ企業や、強制適用事業所に該当する個人事業所(一部の業種を除く従業員数5人以上の事業所)においては、原則としてフルタイム相当の従業員は社会保険の加入対象となります。

短時間労働者(パート・アルバイト)の加入条件

社会保険の加入条件のうち、近年最も変化しているのが、パート・アルバイトなど短時間労働者の加入条件です。

従来の基準では、正社員の週所定労働時間および月所定労働日数の4分の3以上(4分の3基準)をクリアしている場合に加入義務が発生しました。

しかし、近年の法改正による適用拡大により、従来の『4分の3基準』に加え、現在は以下の5要件をすべて満たす短時間労働者も加入対象となっています。

1. 従業員数51人以上の企業で働いている

2. 週の所定労働時間が20時間以上

3. 所定内賃金が8.8万円以上(2026年10月に撤廃予定)

4. 雇用見込みが2ヶ月を超える

5. 学生(定時制や通信制などを除く)ではない

2025年に成立した年金制度改正法に基づき、上記のうち企業規模要件や賃金要件の改定が段階的に進められることになっています。企業においては、自社の規模と従業員の勤務実態を照らし合わせ、適宜加入判断を行うことが大切です。

社会保険の加入条件(企業)

従業員が社会保険に加入するためには、その従業員が働く企業自体が社会保険の適用事業所でなければなりません。

企業側の加入条件は、加入が法律で義務付けられている「強制適用事業所」となるか、申請によって加入が認められる「任意適用事業所」となるかで異なります。

強制適用事業所となる主なケース

強制適用事業所とは、従業員の意思にかかわらず、社会保険への加入が義務付けられている企業のことです。

株式会社、合同会社、NPO法人など、事業の規模や従業員数にかかわらず、法人格を持つ企業は、従業員(役員を含む)が1人でもいれば強制的に適用事業所となります。

また個人事業所は「適用除外業種」を除き、常時5人以上の従業員がいれば強制適用となるのがポイントです。

ここでいう適用除外業種とは、主に以下のような業種を指します。

• 農林水産業

• デザイン・技術サービス業

• 宿泊・飲食サービス業

• 洗濯、理美容、浴場業

• 娯楽業(映画館、スポーツ施設など)

• 警備・ビルメンテナンス業

任意適用事業所と加入のための手続き

強制適用事業所に該当しない個人の事業所は、「任意適用事業所」となることができます。

任意適用事業所は、事業所の意思によって社会保険の適用を受ける(加入する)かどうかを決定できる事業所です。

加入する場合は、従業員の半数以上の同意を得た上で、年金事務所に申請し、厚生労働大臣の認可を受ける必要があります。

任意適用事業所となった場合、そこで働く従業員は、加入条件を満たせば強制適用事業所と同様に社会保険に加入するというルールです。

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社会保険に従業員が加入するメリット

社会保険に従業員が加入することは、単に法令遵守に留まらず、従業員の生活全体における安心感を向上させることにつながります。

公的なセーフティネットである社会保険は、人生の様々な局面で発生するリスクに対し、経済的な安定をもたらす制度です。

ここでは社会保険がもたらす一般的なメリットについて、解説します。

手厚い休業補償を提供できる

社会保険加入による大きなメリットは、充実した休業時の補償です。業務外の病気や怪我で療養が必要となり、会社を休まざるを得なくなったため十分な給与の支払いを受けられない場合に、最長1年6ヶ月間にわたり傷病手当金が支給されます。

これは療養期間中の収入減を補い、治療に専念できる環境を提供するものです。

同様に、女性従業員が出産のために休業する場合にも、出産手当金が支給されます。

これらの手当金は国民健康保険には存在しない、会社員などが加入する健康保険特有の強力な補償です。

従業員の生活基盤を経済的に支え、安心して会社に所属し続けられる動機づけとなるでしょう。

老後の年金額の大幅な増加と手厚い遺族保障

将来受け取れる年金額を増やせることも、社会保険加入のメリットです。

国民年金(基礎年金)に加えて、収入に応じた厚生年金が上乗せされるため、国民年金のみに加入する場合と比較すると、老後の経済的な安定性が格段に高まります。

また、年金は老齢時だけでなく、現役世代に万が一のことがあった際にも機能します。加入者が障害を負った場合は障害厚生年金が、死亡した場合には遺族に遺族厚生年金が支給され、もしもの事態に備えることが可能です。

このようなメリットを従業員に伝えることで、給与から保険料が差し引かれる際にも、納得感をもたらすことができます。

社会保険に従業員が加入するデメリット

社会保険への加入は、従業員の安定した雇用に不可欠であり、企業のコンプライアンス(法令遵守)意識を示す上で極めて重要です。

しかし、事業所側の視点から見ると、無視できない懸念点もあることは注意しておくべきでしょう。

人件費の増加

企業にとってのデメリットとして、無視できないのが人件費の増加です。

社会保険料は、企業と従業員が折半して負担します。そのため、従業員が支払う保険料と同額を、企業も法定福利費として負担しなければなりません。

これまで社会保険に未加入だった従業員が多い企業や、適用拡大の対象となる企業にとっては、予期せぬコスト増となり、経営計画の見直しを迫られる場合があります。

複雑で継続的な事務手続きの発生

社会保険の加入に伴い、企業には複雑な事務手続きの負担が発生します。

従業員の入社時や退職時の手続きに加え、毎年必ず行わなければならない算定基礎届や、産前産後休業・育児休業時の申請などにも、対応しなければなりません。

これらの手続きは、法律や制度の変更に応じて細かな知識が求められるため、業務量が増える側面が出てくるでしょう。

その際に、クラウドサービスやAI等の支援ツールを導入することで、事務作業を効率化し、担当者がより付加価値の高い業務に注力できる環境を整える契機にもなり得ます。

社会保険の加入手続きの進め方(従業員)

社会保険の加入手続きの大部分は企業が行いますが、手続きをスムーズに進めるためには、従業員に制度への理解と迅速な対応を促すことも必要です。

ここでは社会保険の加入にあたり、従業員にどのような対応を求める必要があるのか、整理しておきましょう。

会社への提出が必要な主な書類

社会保険への加入手続きに際して、従業員が会社に提出を求められる主な書類は以下の通りです。

書類

概要

年金手帳(基礎年金番号通知書)またはマイナンバーカード

基礎年金番号を確認するために必要な書類。年金記録を一元管理するための重要な番号であり、年金への加入手続きに必須となる。

配偶者などの情報

配偶者や子どもなどを健康保険の被扶養者として、配偶者を国民年金の第3号被保険者として同時に加入させる場合に必要な情報。扶養している事実を証明するために、氏名・生年月日・マイナンバーなどを提出する。

会社としては、これらの書類の必要性を従業員へ明確に説明し、スムーズな提出を求められるよう理解を深めておくことが大切です。

扶養している家族を同時に加入させる際の手続き

従業員が家族を自身の健康保険の被扶養者とする場合、上記の書類に加えて、「健康保険被扶養者(異動)届」も会社経由で提出します。

この際、続柄確認及び収入確認のための書類が求められるほか、同居していない家族を扶養に入れる場合などは、別途、その事実を証明するための書類が必要になる場合があります。

加入を希望する扶養家族がいる場合、従業員には事前に会社に確認し、必要な証明書類を漏れなく準備することを伝えておきましょう。

なお、健康保険の被扶養者(異動)届は、国民年金の第3号被保険者の届書も兼ねているため、同時に加入手続きが行えます。

社会保険の加入手続きの進め方(会社)

従業員の社会保険加入手続きは、会社の重要な義務です。会社は、従業員から提出された情報に基づき、必要書類を作成し、管轄の年金事務所などに提出しなければなりません。

会社はどのような手続きにより加入を進めるのか、ここで確認しておきましょう。

ステップ1:従業員からの情報収集と加入要件の最終確認

まず加入対象となる従業員から、手続きに必要な書類や情報を速やかに提出してもらいます。

特に重要なのは、基礎年金番号と被扶養者に関する情報です。また、これらの情報に加え、入社日や労働時間など雇用契約の内容を確認し、加入要件を満たしているか最終的に判断します。

パート・アルバイトなどの短時間労働者の場合は、加入要件の適用拡大に留意し、要件をクリアしているかをチェックしましょう。

ステップ2:必要書類の作成と添付書類の準備

従業員の情報が揃ったら、会社が年金事務所などへ提出する以下の書類を作成します。

• 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届

• 健康保険被扶養者(異動)届 国民年金第3号被保険者

資格取得届に記載する「報酬月額(資格取得月の報酬見込み額)の算定は、正確に行いましょう。

ステップ3:管轄の年金事務所への提出

作成した書類は、従業員が資格を取得した日(新入社員や転職者の場合は入社日)から5日以内に、事業所の所在地を管轄する年金事務所へ提出します。

窓口・郵送のほか、近年はe-Gov等による電子申請が一般的です。

提出後、従業員にはマイナンバーカード(マイナ保険証)の利用を促すか、持っていない場合は「資格確認書」を交付し、本人へ渡すことで完了です。

給与計算業務をアウトソーシングするメリット

社会保険手続きや給与計算業務は、特に負担の大きなバックオフィス業務の一つです。

ケアレスミスの修正対応に追われたり、制度変更に対応したりといった作業も頻繁に発生したりします。また、計算ミスが従業員からの信頼を大きく損なう要因にもなりかねないなど、何らかの効率化は検討すべきです。

最近では、これら一連の業務を専門の会社に委託し、社内の業務効率化を推進する動きも見られます。給与計算業務はノンコア業務であるため、外部に任せることで社内人材の負担削減や、リソースの有効活用を進めることが可能です。

最新の法改正にもキャッチアップしやすい環境づくりに貢献するため、アウトソーシングは強力なソリューションとなるかもしれません。

まとめ:安定した雇用と企業経営に向けた社会保険手続きを

社会保険の適切な適用は、単なる法令遵守に留まらず、企業の安定した経営基盤を築くために不可欠です。

特にパート・アルバイトなどの短時間労働者については、最近加入要件が拡大していることを踏まえ、企業は常に最新の加入要件を正確に把握し、加入義務のある従業員を漏れなく被保険者とすることが求められます。

適正な手続きは、未加入による遡及徴収や罰則が科されるリスクを回避し、従業員に対して安心できる公的な保障を提供する上で重要です。

優秀な人材の定着と企業の社会的信頼性が向上し、結果として持続可能な企業経営へと繋がることからも、正しい手続きができる環境づくりに目を向けましょう。

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安森 将
監修

安森 将

やすもり社会保険労務士事務所 代表

大学卒業後、大手鉄道会社の総合職として 25 年間、主に人事、営業戦略、新幹線予約システム開発業務に携わった後、退職。退職後は社会保険労務士、行政書士などの国家試験に合格し、2023 年に社会保険労務士として開業(現職)。企業勤務時代の経験を活かし、人事労務分野を中心とした会社経営に関する様々な相談業務、働き方改革推進支援センター(厚生労働省委託事業)の専門家、臨時労働保険指導員(東京労働局)としての業務等に従事。大手企業各社オウンドメディア等の人事労務に関する記事執筆や監修の実績も多数。
Professional AI Media編集部
執筆

Professional AI Media編集部

株式会社On Technologiesが運営する「AIによる業務変革と成長を支援する Professional AI Media」を編集しています。