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変形労働時間制とは?1か月・1年単位の違いと自社に合う制度の選び方を解説

変形労働時間制とは?1か月・1年単位の違いと自社に合う制度の選び方を解説
この記事を読んでわかること
  • 変形労働時間制の基本的な考え方

  • 1週間・1か月・1年単位の違い

  • 裁量労働制・シフト制・フレックスタイム制との違い

  • 導入のメリット・デメリット

  • 導入の流れと注意点

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業務の繁閑に応じて、柔軟に労働時間を設定できる変形労働時間制。適切に活用すれば、従業員のワークライフバランス向上と企業の生産性向上の両立が可能です。

一方で変形労働時間制は、制度の種類や要件が複雑で、導入時に迷いやすい制度です。1週間単位・1か月単位・1年単位の変形労働時間制、フレックスタイム制の違いやメリット、デメリットがはっきりせず、導入をためらっている企業もあるでしょう。

この記事では、変形労働時間制の種類や基本的な考え方から、導入方法や注意点まで、詳しく解説します。

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変形労働時間制とは?

変形労働時間制とは、「一定期間を平均した1週間あたりの労働時間が上限の範囲内であれば、特定の日や週において、法定労働時間を超えて労働させることができる」制度です。

労働基準法では、法定労働時間を超えた労働時間に対しては割増賃金の支払いが必要です。しかし変形労働時間制を導入すれば、繁忙期には1日10時間働き、閑散期には6時間働くといった形で、柔軟な労働時間の設定が可能になります。

ただし変形労働時間制を導入するには、就業規則への規定や労使協定の締結など、法律で定められた手続きを踏む必要があります。

そもそも法定労働時間とは?

法定労働時間とは、労働基準法で定められた労働時間の上限です。

原則として1日8時間、1週40時間(特例措置対象事業場では週44時間)を超えて働かせてはならないとされています。

この法定労働時間を超えて働かせる場合は、36協定を締結し、労働基準監督署に届け出た上で、法定労働時間を超えた労働時間に対しては割増賃金を支払わなければなりません。

変形労働時間制の例

変形労働時間制の具体例を見てみましょう。

例えば小売業で、月末と月初は繁忙期で忙しいが、月の中旬は比較的余裕があるという場合、1か月単位の変形労働時間制が適用できます。月末と月初の労働時間を1日9時間、中旬は1日7時間の形で設定し、1か月平均で1週40時間以内に収まれば、繁忙期の1日9時間労働に対して割増賃金を支払う必要がありません。

また夏季は観光客が増えて忙しいが、冬季は閑散期となる観光業では、1年単位の変形労働時間制を導入し、夏季の労働時間は週45時間、冬季の労働時間は週35時間といった設定も可能です。

裁量労働制やシフト制との違いは?

変形労働時間制と混同されやすい制度に、裁量労働制やシフト制があります。それぞれの主な特徴は、以下のとおりです。

裁量労働制


業務の性質上、その業務の遂行方法を労働者の裁量に委ねる必要がある業務について、実際の労働時間にかかわらず、労使協定や労使委員会の決議により定めた時間を働いたものとみなす制度です。研究開発職や企画立案職など、限定された業務にのみ適用されます。変形労働時間制が労働時間を柔軟に設定する制度であるのに対し、裁量労働制はみなし労働時間を設定するものです。

シフト制

複数の従業員が交代で勤務する勤務形態のことです。24時間営業の店舗や医療機関などで用いられます。シフト制そのものは労働時間制度ではなく、勤務の組み方のひとつです。なおシフト制の中で変形労働時間制を組み合わせることも可能です。

変形労働時間制での残業時間の考え方

変形労働時間制を導入している場合、残業時間は、1日単位、1週単位、変形期間(1か月、1年など)単位の順により把握します。

 1日単位

就業規則などであらかじめ定めた所定労働時間により、以下の通りとなります。

  • 1日所定労働時間8時間以内の場合:8時間を超えた労働時間(通常の時間外労働と同じ)

  • 1日所定労働時間8時間超の場合:所定労働時間を超えた労働時間

1週単位

  • 1週所定労働時間40時間(特例措置対象事業場44時間)以内の場合:40時間(44時間)を超えた労働時間(通常の時間外労働と同じ)

  • 1週所定労働時間40時間(同44時間)超の場合:所定労働時間を超えた労働時間

※1日単位で把握した残業時間を除く。

対象期間全体

対象期間の法定労働時間総枠(40時間または44時間×対象期間の暦日数÷7日)を超えて労働した時間を残業時間とします。

※1日単位、1週単位で把握した残業時間を除く。

上記で残業時間に該当した場合には、割増賃金の支払いが必要です。計算が複雑になるので、勤怠管理システムを活用するなど、正確な労働時間管理が求められます。

派遣社員に変形労働時間制を適用するには?

派遣社員に変形労働時間制を適用する場合には、派遣元企業が制度を導入している必要があります。派遣先企業が変形労働時間制を導入していても、派遣元が導入していなければ、派遣社員には適用されません。派遣先での就業条件や労働時間管理との整合性も確認しながら、適用可能かどうかを判断してください。

派遣元企業は就業規則に変形労働時間制を規定し、必要に応じて(1年単位の変形労働時間制の場合は必須)労使協定を締結します。その上で、派遣契約や派遣社員との雇用契約において、変形労働時間制を適用する旨を明示してください。

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変形労働時間制の3つの種類

変形労働時間制は、対象期間の長さによって以下の3つに区分されます。

  • 1週間単位

  • 1か月単位

  • 1年単位

なお本記事では、これらと比較されやすいフレックスタイム制もあわせて解説します。それぞれ詳しく見ていきましょう。

①1週間単位

1週間単位の非定型的変形労働時間制は、規模が30人未満の小売業、旅館、料理店・飲食店に限って労使協定の締結により認められる制度です。

1日10時間まで労働させることができ、週の労働時間が40時間を超えなければ割増賃金の支払いは不要です。ただし、各日の労働時間を従業員に事前に明示する必要があります。

②1か月単位

1か月単位の変形労働時間制は、多くの企業で採用されている制度です。1か月以内の期間を平均して1週間あたりの労働時間が40時間(特例措置対象事業場は44時間)以内であれば、特定の日や週で法定労働時間を超えて労働させることができます。

③1年単位

1年単位の変形労働時間制は、1年以内の期間を平均して、1週間あたりの労働時間が40時間以内であれば、特定の日や週で法定労働時間を超えて労働させることができます。

季節によって業務量が大きく変動する業種に適しています。

ただし1年単位の変形労働時間制には、労働時間に関する制限があります。1日の労働時間は10時間まで、1週の労働時間は52時間までです。対象期間が3か月を超える場合にはさらに制限があります。

また、連続して労働させる日数は原則6日まで(対象期間の中で特に業務が繁忙な期間として定める特定期間は週1日の休日が確保できる日数)となります。

出典:厚生労働省「1年単位の変形労働時間制」

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フレックスタイム制との違い

フレックスタイム制は、一定期間(清算期間)の総労働時間を定めた上で、従業員が日々の始業・終業時刻を自ら決定できる制度です。

清算期間は最長3か月まで設定でき、その総枠内で時間外労働等を判断します。

必ず勤務すべき時間帯を「コアタイム」、自由に出退勤時刻を選択できる時間帯を「フレキシブルタイム」として設定することが一般的ですが、コアタイムを設けない完全(スーパー)フレックスタイム制もあります。

出典:厚生労働省「フレックスタイム制」

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変形労働時間制のメリットとデメリット

変形労働時間制の導入には、メリットとデメリットの両面があります。主なメリットとデメリットをまとめました。

変形労働時間制のメリット

変形労働時間制の主なメリットは、以下のとおりです。

  • 従業員のワークライフバランスが向上する

  • 業務量に応じた人員配置の最適化ができる

  • 生産性が向上する

変形労働時間制を導入すれば、業務の繁閑に応じて労働時間を調整できるため、従業員のワークライフバランス向上が期待できます。閑散期の早期退勤やプライベート時間の確保、フレックスタイム制による通勤時間帯の分散や育児との両立支援など、従業員一人ひとりの事情に配慮した働き方を実現できる点は、人材の定着やエンゲージメント向上につながる企業側のメリットでもあります。

また企業にとっては、業務量に応じて労働力を適切に配置できるようになるため、業務配分の見直しや労務環境の改善につながります。繁忙期には十分な人員を確保し、閑散期には無駄な待機時間を削減できるなど、人員配置の最適化を図れる点も大きな利点です。

従業員が効率的に働ける時間帯を選択できることは、企業全体の生産性向上にも直結します。

変形労働時間制のデメリット

変形労働時間制の主なデメリットは、以下のとおりです。

  • 従業員の負担が増加する

  • 勤怠管理が複雑になる 

変形労働時間制を導入することで、従業員の負担が増加するケースもあります。繁忙期に長時間労働が続くと心身の疲労が蓄積し、健康を害するおそれがあるからです。特に1年単位の変形労働時間制では、連続した長時間労働が許容されるので、適切な休息時間の確保が課題となります。

勤怠管理が複雑になる点にも注意が必要です。日や週によって所定労働時間が異なると、残業時間の計算が複雑になります。

変形労働時間制の要件を正しく理解せずに導入すると、知らないうちに法律違反となるかもしれません。まずは制度全体の仕組みをよく理解し、自社の規模や運営環境に照らして検討してください。

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変形労働時間制導入の流れ

変形労働時間制導入では、就業規則への規定や労使協定の締結、労働基準監督署への届出などが必要です。

変形労働時間制導入のおおまかな流れをまとめました。

①現状調査を行う

まずは自社の業務の繁閑状況を詳しく調査します。どの時期、どの曜日、どの時間帯が忙しいのか、逆にいつが閑散期なのかを把握してください。過去の勤務実績や業務量の推移を分析することで、変形労働時間制が本当に必要か、どのタイプが適しているかを判断できます。

あわせて対象者や労働時間の選定を行います。全従業員を対象とするのか、特定の部署や職種のみとするのかを決めましょう。また繁忙期と閑散期でそれぞれ何時間の勤務とするか、週や月の労働時間配分をどうするかを具体的に決定します。

法定労働時間の総枠を超えないよう、調整してください。

②就業規則を改正し、労使協定を締結する

変形労働時間制を導入するには、就業規則に制度の内容を規定する必要があります。就業規則の変更には、労働者の過半数代表の意見を聴取する必要があります。変更内容を従業員に説明し、理解を得ましょう。

1週間単位の非定型的変形労働時間制、1年単位の変形労働時間制、フレックスタイム制を導入する場合は、労使協定を締結します(1か月単位の変形労働時間制の場合、常用労働者10人未満で就業規則に定めがないときも、労使協定の締結が必要です)。

労使協定は労働者の過半数で組織する労働組合、またはそれがない場合は労働者の過半数を代表する者と締結します。

③労働基準監督署へ届出をする

1週間単位、1年単位の変形労働時間制、および清算期間が1か月を超えるフレックスタイム制を導入する場合は、労使協定を労働基準監督署に届け出る必要があります。

(1か月単位変形労働時間制の場合は、就業規則または労使協定を届け出ます。)

届出は制度を開始する前に行ってください。所定の様式に労使協定書を添付して、提出します。

④運用開始

必要な手続きを終えたら、制度の運用を開始します。開始前には従業員へ適切に周知し、いつから新しい制度が適用されるのか、労働時間がどう変わるのかを伝えます。

運用開始後は労働時間の記録状況や従業員の健康状態に配慮し、問題点がないか確認しながら、運用を継続してください。

まとめ

変形労働時間制は規定の上限の範囲内で、特定の日や週で法定労働時間を超えて労働させることができる制度です。1週間単位・1か月単位・1年単位の3種類があります。また類似した制度として、フレックスタイム制の導入も可能です。

従業員のワークライフバランスの向上や残業代の削減、生産性の向上が期待される一方で、業種によっては従業員の負担が増加したり、勤怠管理の複雑化したりといったリスクもあります。自社の状況にあわせて、導入を検討しましょう。

変形労働時間制は適切に活用すれば企業と従業員の双方にメリットをもたらす制度です。制度をよく確認し、必要に応じて専門家のアドバイスも受けながら、自社に合った制度設計と運用を目指しましょう。

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安森 将
監修

安森 将

やすもり社会保険労務士事務所 代表

大学卒業後、大手鉄道会社の総合職として 25 年間、主に人事、営業戦略、新幹線予約システム開発業務に携わった後、退職。退職後は社会保険労務士、行政書士などの国家試験に合格し、2023 年に社会保険労務士として開業(現職)。企業勤務時代の経験を活かし、人事労務分野を中心とした会社経営に関する様々な相談業務、働き方改革推進支援センター(厚生労働省委託事業)の専門家、臨時労働保険指導員(東京労働局)としての業務等に従事。大手企業各社オウンドメディア等の人事労務に関する記事執筆や監修の実績も多数。
Professional AI Media編集部
執筆

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株式会社On Technologiesが運営する「AIによる業務変革と成長を支援する Professional AI Media」を編集しています。

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